2019.08.16

本人が自負。「巨人V9を支えたのは
柴田、高田、土井、黒江の好走塁」

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 聞いた途端、リアルタイムでは見ていない往時の野球が頭を駆け巡った。すなわち、65年から73年にかけて、日本シリーズ9連覇を成し遂げた野球──。今の巨人に足りないものが解き明かされるなかで、図らずも、V9を支えた機動力の素がありありと想像できた。好走塁のできる選手がそろっていたからこそ、当時の巨人は勝ち続けられた、と柴田さんは言っている。

「好走塁ができる選手、今はいないとは言わない。少ない、と思うな。アメリカに比べたら本当に少ない。向こうでも強いチームっていうのは、走者一塁でヒット打ったら、必ず三塁に行くよね。芝生が深いから、打球が死ぬから、ということもあるかもわかんないけど、でも、見ていて意欲的だよね。ガイジンさんのほうが。今のジャイアンツだったら、ホリンズを見ててごらん。彼はホントにねぇ、ワンヒットでビャーッと一塁から三塁に、っていう意欲あるよ」

 柴田さんはホリンズの能力を素直に見て、評価している。デビルレイズで05年に13本塁打、06年に15本塁打を放った実績がありながら、開幕時は8番を打っていたその助っ人に対し、ファンの間で「本当に必要なのか」という声も出ていた。が、じつは助っ人ホリンズこそが、V9時代の好走塁を見せてくれる選手だったとは……。

「でもね、ガイジンさんは日本の野球に慣れてくると走らなくなっちゃうからな。ホントは鈴木尚広みたいな選手をね、なんとかしたいと思ってる。ただ、オレがもしも監督の立場だったら、盗塁できる選手が1人よりも、好走者が4人か5人ほしい、と思うだろうな。そういうチームが強くなる。うん」

 その強いチームの頂点が、V9時代の巨人──。

「当時、みんなそれぞれ自分の役目を果たすっていう意識が強かったね。で、みんな仲悪いんだから。いやホントに。要するに、仲良しチームじゃないの。今の人はミスするとなだめるよね。当時は『おまえのミスで!』と怒る。言われたほうも『この野郎!』となる。それが試合になるとひとつにまとまるんだけど、試合から離れたら、てんでんばらばら。そういうチーム、もしも今あったら絶対に強いよ」

(2007年6月11日・取材)

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