井端弘和が語る究極の難題。「なぜ大型連敗・連勝が多発するのか」 (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──両リーグとも、首位を独走しつつあった巨人とソフトバンクがオールスター明けに連敗し、優勝争いの行方が読めなくなってきました。現在は2チームとも状態は上がってきたように感じますが、これから他球団が"包囲網"をかけることはあるでしょうか。

「クライマックスシリーズが導入されてからは、先発ローテーションを崩してまで首位のチームにエースをぶつけてくることも少なくなりました。何かのきっかけで負けが重なることはあっても、他のチームに戦力を集中されて連敗する心配はあまりないでしょう。

 今シーズンは確かに大型連敗と連勝が多くなっていますが、順位を見るとチーム力の差がそのまま結果になって表れていると思います。上位にいるチームは、連敗をしてもそこから連勝して浮上する力がある。反対に、たとえば戦力的に厳しい中日などは、7月に8連勝したあとに8連敗してそのままズルズルと順位を下げてしまいましたよね。そういう意味では、パ・リーグのほうが戦力が拮抗していると言えます」

──とくに波が激しい広島も、連敗、連勝を繰り返して首位を狙える位置にいます。苦しい時のチームを救った選手を挙げるなら誰になりますか?

「もちろん鈴木誠也が軸のチームですが、今シーズンは西川龍馬の働きが大きいです。開幕スタートに失敗した広島が一度首位に上がった時には、彼が球団歴代2位の27試合連続安打を記録した時期とリンクします。交流戦からまた調子を落とし、引き分けを挟んで11連敗した後も、1番に入った西川がチームをけん引して9連勝で巻き返しました。

 彼は"悪球打ち"と称されることもあり、ボール球の見極めが少し課題でしたが、あとにクリーンアップが控える1番だと相手投手が四球を嫌がるようになる。5番を打っていた時よりもストライクゾーンに近いところでの勝負が多くなったため、持ち前のバッティングセンスを大いに生かせているんだと思います。広島のリーグ4連覇の行方も、彼の活躍が大きく左右するでしょうね」

──ペナントレースは終盤戦に入っていきますが、これからの戦いで重要になることは?

「上位のチームは優勝を狙って、下位のチームは何とかクライマックスシリーズ進出圏内の3位に食い込むために死力を尽くす戦いになります。その中でまた連敗、連勝をするチームが出てくるでしょうが、それに惑わされないこと。首脳陣や選手もわかっているでしょうけど、いかに目の前の試合に集中できるかが重要だと思います」

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