石川雅規「全盛期はまだまだこれから」。投球術に詰まったプロの凄み (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 そのことを石川に伝えると、ニコリと微笑んでこう語った。

「松本が気を遣って、話を盛っているだけですよ(笑)。でも、僕としては(スピード)ガンだけじゃないところでの勝負というか、ボールのキレや質を求めているので、その言葉はうれしいですよね。基本、真っすぐがあっての変化球ですから。変化球でも攻めのピッチングはできますが、しっかりとした真っすぐがなければ勝てません。

 僕は、真っすぐの比率は少ないかもしれませんが、使いどころによって、それが攻めのピッチングになると思っています。年齢を重ねると、"円熟味"とか"ベテランのピッチング"とか言われますけど、やっていることは若い時と大差ないですからね。攻める気持ちは常に持っています」

 5年ほど前のことだっただろうか、石川は囲み取材で「こうやって歳を取ってくると、準備のために球場にくる時間が早くなってきます」と笑ったことがあった。その姿勢は今も変わっていない。若手野手が室内練習場で早出練習をしている時間に、隣接するコブシ球場で走り込む石川の姿をよく見かける。

「『自分の全盛期はまだまだこれから』だと、勝手に思っていますからね(笑)。プロである以上は上を目指したいので。日頃のルーティンも、投げ方も、考え方も、少しは変わることはありますが、それは今をキープするためではなく、もっと野球がうまくなりたいためです。そのためにしっかりと予習と復習をする。それが僕のできる最高の準備だと思っています」

 最後に、プロ通算167勝を記録している石川に、今後の目標について聞いてみた。

「200勝は目指すのには最高にいい数字ですけど、個人的な目標になってしまうので......。やっぱり日本シリーズで勝つというのが大きな目標ですね。チームは2015年に日本シリーズに出ましたが、僕は2敗していますし......。だからこそ今のチームで、今年はファンのみなさんには本当に心苦しい状況ですけど、一戦一戦やるしかないので、最後まであきらめずに、しっかり準備して戦っていきたいと思います」

 探求心と向上心がこもった石川雅規のボールは、本当に力強い。

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