「矢野ガッツ」が阪神を変えた。赤星憲広が考えるチームの好材料 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

── 一方のセカンドは、新キャプテンの糸原健斗選手でほぼ固まった印象があります。

「私は今シーズンの糸原の働きを高く評価しています。打率は2割6分前後ですが、2割8分、3割くらい打っているように感じていたので、あらためて数字を見た時に『こんなに低かったの?』と驚いたくらいです。チームトップの四球数(38個)が象徴するように、彼の粘り、いやらしさは相手チームにとってかなりのダメージになるはずです。

 相手投手に球数を多く投げさせ、次につなげる意識が高い二番打者がいると、出塁した一番打者は焦らずに盗塁の機会を見極めることができます。私が現役時代に二番を打っていた関本(賢太郎)もそうでしたね。現在、近本がリーグトップを争うくらい盗塁数が増えているのも、糸原のアシストによる部分が大きいと思います。守備範囲は上本(博紀)ほうが広いですが、安定感はありますし、攻撃での貢献度も考えて糸原が起用されているのでしょう」

──今シーズンは、投手陣も粘りの投球ができているように感じます。

「まず先発陣については、開幕前から枚数は揃っていたので心配していませんでした。小野(泰己)の離脱はあったものの、岩貞(祐太)や秋山(匠己)が穴を埋め、ベテランの岩田(稔)も頑張っています。昨シーズンのように(ランディ・)メッセンジャーに頼りきりになることはないでしょう。今シーズンのメッセンジャーは黒星が先行していますが、交流戦の初戦で勝利したように、節目の試合ではやはり彼の力が必要になると思います」

──中継ぎ陣に関してはいかがですか?

「島本(浩也)、守屋(功輝)など活きのいい若手が台頭していますね。昨年、二軍で指揮を執っていた矢野監督も彼らの成長を見ていたでしょうし、一軍レベルで通用するという期待に見事に応えています。さらにすばらしかったのは(ピアース・)ジョンソンです。昨シーズンまで登板が多かった桑原(謙太朗)や岩崎(優)の蓄積疲労が心配される中、見事にハマリましたね。

 彼の魅力は、ストレートとパワーカーブのコントロールがいいこと。有利なカウントに持ち込むことができ、どちらの球種も勝負球として三振が取れる。また、クローザーの(ラファエル・)ドリスとタイプが異なるのも功を奏していると思います。同じ右投手ではあるんですが、ジョンソンはきれいな真っ直ぐと大きなカーブ、ドリスは動きのある真っ直ぐと落ちるボールで勝負するので、打者は対応が難しいでしょうね」

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