2019.04.17

すべては楽天のために。平石洋介新監督
「僕の評価はどうだっていい」

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

第1回 新リーダー論~青年監督が目指す究極の組織

 前夜はいつも通り熟睡できた。ホテルでの宿泊だったため、朝食も鯛の尾頭付きに赤飯といった初陣を祝うメニューではない。炊きたてのご飯にしらすおろし、コーンスープ……宿泊客の誰もが食すおかずを口にした。

 だが、ユニフォームに身を包むと、やはり気持ちが昂っている自分を認識する。

背番号「89」は、指導者になってから変わらず、今年で8年目になる。昨年は監督代行も経験した。最初は何気なく「下の番号から見て目についたもの」を選んだつもりだったが、あとから語呂で『野球』と読めることを知る。多くの人から「いい番号だな」と言われるが、強く意識することはない。とは言いっても、長く付けていればさすがに愛着は沸く。

楽天初の生え抜き監督となった平石洋介 3月29日。平石洋介は楽天での15年目のシーズンを、初めて監督として迎えた。

 長丁場の戦いの場に挑む出陣式。静かに監督の言葉を待っている選手、コーチ、球団スタッフの前で力強く喚起する。

「とにかく明るく、元気に戦っていこう。ギラギラしたチームになろう」

 開幕カードの舞台であるZOZOマリンスタジアムは、入団1年目の平石がプロとしてのキャリアをスタートさせた場所でもあった。千葉マリンスタジアムだった2005年当時とは球場名も装いも変わっている。それでも郷愁とは、本人の意思とは無関係に漂うものである。

「不思議な縁を感じますよね。プロ1年目の開幕セレモニーは気持ちが昂ったのを思い出します。僕は開幕2戦目で初めて試合に出たんですけど、レフト、ライトにどんどん打球が飛んでくるし、右中間、左中間のヒットも多かったんでね。初打席を迎える頃には、緊張なんて感情はなくなっていましたよ」

 平石はそう言って、懐かしむように笑う。この回顧にある第2戦とは、新規参入を果たした楽天が開幕戦で歴史的初勝利を飾った翌日のことで、序盤から劣勢に立たされていた。初回に2点を失い、2回には一挙11点と猛攻にさらされた。センターを守っていた平石が、9番打者として初打席を迎えた3回表にはすでに0-13と大量リードを奪われていた。最終的に点差は26まで広がった。自身は3打数無安打。ルーキーで唯一、開幕一軍切符を勝ち取ったが、結果を得られなかった。