西武・森友哉が挑む「捕手で首位打者」が至難である理由 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 ただし、4月13日に行なわれたオリックス戦の6回二死一塁では、今井の投じたワンバウンドしそうな球を身体で止めにいかず、ミットを上から下に使って後逸し、ワイルドピッチにした。しかも、後ろに逸らせたボールを握った時点で、三塁を狙った走者を殺せそうになかったが、サードへの送球エラーを犯して余計な1点を与えた。上記のキャッチングミスは今季何度か見られ、改善が必要だ。

 さらに前述した4月12日のオリックス戦の9回、ロメロへのリードについて含みを持たせる声もある。森の1年目に二軍のバッテリーコーチを務め、投球マシンを使った捕球練習など基礎から二人三脚で行ない、現在1軍で捕手陣を見る秋元宏作コーチだ。

「まあ、リスクはあるなかでね、バッターのスイングと多和田の出来を照らし合わせて、あの配球がベストと判断して、ベストの球がきて、ベストの結果が出ました。正しい状況判断なんじゃないですか。そこまでのリスクまで考えてのリードだったなら、たいしたものです」

 配球に正解はなく、結果が出ればOKの世界だ。それでも、リスクマネジメントは不可欠になる。試合終盤で0対0の場面なら、外角のボール球を振らせるという選択もあっただろう。秋元コーチは長らくそばで森を見ているからこそ、結果だけでよしとしなかったのかもしれない。

 ただし裏を返せば、それだけ森が期待を寄せられていることの表われでもある。捕手としてともに現役生活を過ごした上本は、「とにかく吸収が早い」と森の成長を目の当たりにしてきた。秋山が「どう大人にしていくか」と口にするほど、周囲は高い要求をしたくなるのだろう。

 果たして、8月に24歳となる「打てる捕手」は首位打者に輝き、偉大な先達に肩を並べることができるか。まだシーズンは始まったばかりだが、史上4人目の偉業達成を期待したくなるほど、順調な開幕スタートを切ったのは確かだ。

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