西武・森友哉が挑む「捕手で首位打者」が至難である理由 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 しかし昨年、森は実力で出場機会を奪い取り、西武の捕手陣で最多の136試合に出場した。

 ただし、打率.275――。打席数こそ大きく違うものの、2016年には.292、2017年には.339を残していた。

「数字としては、彼の思っているものではなかったかもしれないですね。防御率や盗塁阻止率ももっとできたはずですし、キャッチャーは苦しいなかでもマスクを被らないといけないですから」

 同じ左打者の秋山翔吾はそう話した。

 実際、捕手は守備の負担が最も大きいポジションだ。事前に相手打者のデータを覚え、試合中は対戦相手を観察する一方で味方投手のよさを引き出し、同時に守備陣に指示を送る。指名打者や外野手と比べ、守備の負担の大きさは明らかである。

「捕手のたいへんさは、やった人にしかわからないです。僕はちょっとしかやってないですけど、やったことのない人に何か言われても、何も思わないです」

 そう話すのは、2017年限りで現役引退し、現在西武でブルペン捕手を務める上本達之だ。社会人から入団した上本は「打てる捕手」として期待され、レギュラーこそ獲得できなかったものの、2016年には代打も含め打率.307を残した。捕手として打撃成績を残す難しさについて、上本はこう語る。

「打つのは二の次になることが多いと思います。それくらいたいへんというか、打たれて点を取られた時点で、『なんで取られたんだろう?』とか『今の配球はよくなかったな』とか、そっちに頭が傾くので、何となく打席に立っていることが多くなりがちだと思います。

 そこの割り切り方は難しい。森に今年ちょっと話を聞いたら、『(意識は)打つほうより守るほうです』と言っていました。でも、森は打つ能力も高いですし、あれだけ打つのはすごいです」

 森が史上4人目の「捕手で首位打者」を目指すうえで、カギになるのは守備面だろう。上本の言う「何となく打席に立つ」回数を減らすには、守備の反省点を少なくすることが不可欠だ。

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