西武・森友哉が挑む「捕手で首位打者」が至難である理由 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 この点で、今季の森はリード面で大きな成長を見せている。最たる例が、4月12日のオリックス戦だ。西武・多和田真三郎、オリックス・山岡泰輔のエース対決は年間ベストゲーム候補に挙げられるほど白熱した投手戦となり、8回を終えて0対0のままだった。

 迎えた9回表、多和田は二死一、三塁で打席にロメロを迎える。初球は外角スライダーを振らせて1ストライク。すると、森は内角低めにストレートを4球続けて要求し、見事見逃し三振に斬って取った。

「踏み込んできとったんで、内勝負かなと」

 ロメロの狙いを見極め、インコースに速いボールを続けたほうが打ち取れる確率が高いと考え、そのとおりに仕留めた。

 実は、この裏には興味深いやり取りがある。2球目に内角ストレートのサインが出ると、多和田は首を横に振ったのだ。

「詰まって間に落ちたりして1点というのが一番嫌な感じ、と頭にありました。でも、首を振っても(森)友哉がインコースをまた出したので、これは行くしかないなと。強気でいけて、友哉に感謝したいと思います」

 多和田は森の2歳上で、沖縄出身でマイペースな性格だ。対して、大阪生まれの森はヤンチャな過去が知られている。先輩が1度首を振ったにもかかわらず、内角を強気に攻めさせるのは、「さすが!」と思わせるほど肝の据わったリードだった。

「森をどう大人にしていくか。かわいくて、実力があるからこそですね」

 春季キャンプの前、キャプテンの秋山は今季のポイントをそう話している。

「(菊池)雄星(マリナーズ)みたいないいピッチャーが抜けて、そこに他のピッチャーが加わるわけです。森は物怖じせずに話せると思うけど、よりやってほしい。守っている時は8人と、合わせようと思えば目が合うわけですよね。そういう意味で、『森、がんばれ!』って感じです」

 昨季の最優秀バッテリー賞をともに獲得した多和田だけでなく、飛躍が期待される今井達也や髙橋光成ともコミュニケーションがとれており、捕手・森の成長は著しい。

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