丸佳浩が抜けた穴をどう埋めるか。広島が「危機」を4連覇に変える術 (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 守の穴を野間が埋めれば、打の穴を埋めるのは西川龍馬に期待したい。

 打撃は誰もが認める技術を持つ。2018年も4月末に打率1割1分8厘の打率で二軍に降格しながら、自身初めて100試合に出場し、安打数は100本を突破。打率も3割をマークした。入団から打撃成績を上げ、試合に出れば打てることは証明した。

 ただ、一方で主戦場とした三塁守備でのミスが散見され、シーズン終盤は代打に回った。打力を生かすため、秋季キャンプでは外野に挑戦。守備の負担が減ることで持ち味を発揮しやすくなるかもしれない。

 また出場数を増やすことで精神的な成長も期待できる。主力選手は「試合に出続けることで意識が変わると思う。試合に出続けると中途半端なことはできなくなる。言動が変わってくると思う」と期待する。すでにチームの主力となった鈴木と同世代。打撃だけでなく、近い将来にはチームを引っ張って行く役割も期待される存在だ。

 天才肌でやってきた西川は今オフ、初めて他球団の選手と合同トレを行なう。201711月のU23でチームメイトとなった日本ハムの近藤健介と松本剛とコラボ。同世代の実力者とともに打撃論をかわし、技術を吸収することで打力はさらに磨きがかかるに違いない。

"ポスト丸"を期待される2人が力を付ければ、2年連続MVPの穴は埋まるかもしれない。ただ、野球は「100-3=97」でも「1+1=2」でもないように、単純な計算では成り立たない。

 東出輝裕打撃コーチは若手の台頭によるさらなる戦力の底上げの必要性を説く。

「西川とまっちゃん(松山竜平)を同時にスタートで起用したと考えると、代打の1番手がいなくなる。新井さんがいれば、迷わず西川をスタメンで使っていいかもしれないけど、難しい判断になる。そういった意味では、丸の移籍と新井さんの引退が重なったことは痛い」

 西川が"ポスト丸"となれば、代打の切り札にもなれる"ポスト西川"「が必要となる。新井が支えた精神的支柱という無形の影響力もある。広島が挑む2019年の頂までの道のりは、これまでにないほど険しく高いものとなりそうだ。

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