名コーチが断言。このオフ、菅野智之は他球団から丸裸にされている! (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 問題は同じスライダーでも"曲がり幅"の違いをどう見分けるかだ。打者によって表現は異なるが、菅野のスライダーを「手元で消える」と言う者がいれば、「数種類あって捉えきれない」と言う者もいる。単に大小2種類といったレベルではなく、握り方とリリースのタイミングで曲がり幅を意図的にコントロールしているはずだ。その傾向を知ることが、攻略のカギとなる。

 これについては過去のスコアデータから抽出するしかないが、一定のパターンがあると思われる。おそらくオフのこの時期、スコアラーは自軍の全試合のチャートを洗い直していると思うが、そこから配球傾向は必ず出てくる。菅野といえども例外ではないはずだ。

 イニング、得点差、球場、そして打者......これからすべてのデータを再度見直せば、必ず傾向は出てくるはずだ。

 そして菅野が負けた試合からヒントを探ることも大事である。今季、菅野は8敗しているが、その敗戦のなかでのスライダーの使い方はどうだったのか。とくに苦手にしていた打者との対戦成績も重要なデータとなる。

 たとえば今シーズン、広島の菊池涼介には17打数7安打(打率.412)、中日のビシエドにも16打数7安打(打率.438)。右打者の被打率.216の菅野にしてみれば、相当打たれている数字である。ちなみに菊池とビシエドに共通しているのは、外角を苦にせず、逆方向に打ち返せる技術を持っていることだ。このあたりに攻略のヒントが隠されているはずだ。

 いずれにしても「球数を投げさせて甘い球を待つ」などといった単純な攻略法では、菅野の餌食にあうだけだ。はたして来季、セ・リーグの各球団はどんな形で菅野に挑むのだろうか。いくら難攻不落の好投手とはいえ、何年も続けてやられていてはプロとして恥ずかしいと思うのだが......(苦笑)。

(つづく)

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