CS史上初のノーヒット・ノーラン。
菅野智之が大学時に語ったエース論
神宮球場で行なわれたセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦で、巨人の菅野智之がヤクルト打線相手にCS初となるノーヒット・ノーランを達成。7回二死から山田哲人に四球を与え完全試合は逃したが、許した走者はこの四球だけという準完全だった。
CS史上初のノーヒット・ノーランを達成した巨人・菅野智之 勝てばファイナルステージ進出が決まる大一番。序盤から菅野は変化球主体にコーナーに投げ分ける丁寧なピッチングでヤクルト打線を抑えていく。川端慎吾は試合後、菅野についてこうコメントしている。
「いつもよりすごいという感じではなかったですが、制球がよくて、きっちりいいコースにいくので、打球も正面をついてしまった」
決して手も足も出ないというピッチングではなかった。それでも的を絞らせない。時に技巧派、時に本格派という変幻自在のピッチングが冴えに冴えた。雄平はこの日の菅野をこう表現した。
「(9月22日に完封された)ドームの時と比べるとよくないと思いました。最初はのらりくらりで、2巡目は本格派のピッチングで、次はまたのらりくらり。迷わせるようなイメージでした」
そうしたピッチングができるのも、すべてにおいて完成度が高いからだ。現在日本ハムでピッチングコーチを務めている吉井理人氏は、菅野のピッチングについて、かつてこう語っている。
「ダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)もそうだったのですが、ただ打者を抑えるのではなく、どのようにして打ち取るのかを計算しながら投げている印象があります。150キロを超すストレートがあるのに、それに頼らない。変化球もただ投げるのではなく、たとえばフォークならどこから落とせばいいのか、スライダーならどこから曲げれば空振りを取れるのかがわかっている。しかも狙ったところに投げ込める制球力がある。異次元のピッチャーだと思います」
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