崖っぷちの選手を救い、4700万円をもたらした1本のホームラン

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

「プロ野球で1億円稼いだ男のお金の話」 米野智人(後編)

◆記事前編・「契約金7500万円の高卒捕手がプロで見たもの」から読む>

 4億円以上を稼ぐ選手もいれば、1000万円に満たない年俸の選手もいるプロ野球の世界。「ポスト古田」と期待され、高卒ドラフト3位としては破格の契約金7500万円でプロの世界に飛び込んだ米野智人は、すぐにアマチュアとのレベルの差を思い知らされる。

 レギュラーを目指しながらも、やがて"第二の捕手"として生きる道を模索し、最後はコンバートを選択した男が語るプロ野球選手とお金の話。今も語り草となっている米野の逆転満塁ホームランには、どれだけの価値があったのか?

号泣実況でも「伝説」となった米野の逆転満塁ホームラン号泣実況でも「伝説」となった米野の逆転満塁ホームラン

──キャッチャーは、ピッチャーの女房役と言われます。米野さんが出会った1億円プレーヤーで印象に残っている人は誰ですか?

米野 東京ヤクルトスワローズ時代に仲がよかったのは石川雅規さんですね。身長170センチもない小さな体で、38歳になった今も一軍で投げ続けています。正直、すごみのようなものは感じませんが、ケガしませんね。

 いくら才能があっても、故障したら投げられなくなります。十数年も一軍で投げて、勝ち続けるのは本当にすごいと思います。ストレートのスピードは130キロそこそこですが、バッターの体感ではもっと速い。技巧派だと思われているのに、ストレートが強いし、手元でピュッと来ます。

──石川投手は、コンディションを整えるために何かしているんでしょうか? 誰よりも早くクラブハウスに来るとか、体にいいものを食べているとか?

米野 特別なことをしているようには見えませんね(笑)。ただ、いつも淡々と、自分のペースを崩しません。秘密主義なんで、隠れて何かやっているかもしれませんが。きっと誰にも言わないんじゃないですか。

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