DeNA捕手3人の快記録より「黒羽根のトレード」をコーチは喜んだ (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 一方で、正捕手ひとり体制では、ひとりの配球パターンに相手が慣れて対応される可能性あり、という見方もある。過去に捕手併用で結果を出した監督のなかには、そうした理由で1人体制を避ける者もいたといわれる。

 現にラミレス監督も「三者三様なら相手が慣れることができないメリットがある」とコメントしている。ただ、コーチとしての光山はあまり相手のことは考えず、データを重視しつつ、いつ誰が使われてもいいように捕手陣全体のレベル向上に努めてきた。

 そのひとつの成果として、昨シーズン、3捕手での3連続無失点リレー以上に嬉しい出来事があったという。

「僕が就任を依頼されたときに思ったのが、数はおるんで、トレードのときに他球団から必要とされるようなキャッチャー陣にしたいな、ということでした。なので、あえて誤解を恐れずに言うと、2017年いちばん嬉しかったのが、黒羽根のトレードがありましたが、これはたぶん、彼のためによかった出来事だと思うし、僕としても『ここのキャッチャー陣が認められたんだ』と勝手に思っているんです」

 2017年7月7日、DeNAの捕手・黒羽根利規と日本ハムの投手のエドウィン・エスコバーとの交換トレードが成立した。〈捕手陣の層を厚くしたい日本ハムと左投手の強化を求めていたDeNAとの思惑が一致した〉と報じられたが、日本ハム捕手陣は単に層が薄いのみならず、主力の大野奨太がオフにFAで移籍する懸念があった。

 その点、レギュラー級の力を持ちながら、2016年は戸柱の台頭もあって一軍出場がなく、2017年も開幕から二軍暮らしの黒羽根にとってはチャンス到来の移籍。実際、日本ハムでは19試合出場のうちスタメンマスクが10試合あった。

 言い換えれば、2017年シーズン前半のDeNA捕手陣には、主力級が4人そろっていた。すなわち黒羽根のトレードは、いい意味で余剰人員が生まれるレベルになった証(あかし)と言える。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る