わずか1勝の剛腕。それでも楽天・安樂智大は信念を曲げずに復活を期す (4ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 2ケタ勝利を至上命題として臨んだ昨季は、開幕前の故障によって安樂の思い描いた結果を狂わせてしまったのかもしれない。

 だが、それを経験できたことは、安樂にとって大きな財産でもある。初めての開幕ローテーションを目指したなかでの故障、復帰後のパフォーマンスの低調。もどかしさと向き合った1年は決して無駄にはならない。

 故障明け、安樂はこんなことを言っていた。

「前までの自分でいたくないというか。そのままでいたら、なんの進歩もないじゃないですか。今までやってきたトレーニングは継続してやるなかで、自分に足りないものを見つめ直して取り組んでいきたいですね。1日、1球を無駄にしないように」

 オフには、体脂肪率を考慮した上での肉体改造に着手するなど、新たな自分の構築に向けスタートを切った。苦しんだ3年目を受け入れ、4年目の今年への糧とする。その先にある成果を得るために、安樂は妥協せず、今日も自分を追い込む。

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