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阪神ドラフト5位・谷川昌希を
社会人時代に大変身させた元プロの3人

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

 東農大時代の谷川昌希は「もどかしい投手」だった。まさに本格派というフォームから球威十分のストレートに、キレのいいスライダーを持っていた。だが通算成績は東都大学野球2部リーグで5勝12敗。「プロになれる素質」は持っていたが、「プロになれる投球」にはほど遠かった。

 ケガも多く、谷川は当時を「自分が投げなきゃダメだという気持ちが強すぎて、いつも無理しちゃったのかなと思います」と振り返る。

阪神からドラフト5位で指名を受けた三菱自動車九州の谷川昌希阪神からドラフト5位で指名を受けた三菱自動車九州の谷川昌希

 そんな男が今年、九州三菱自動車のほとんどの公式戦で投げるフル回転の働きを見せた。そして、国際試合でも活躍し、社会人3年目で念願のプロ入りを叶えた。その裏には、社会人生活の3年間で出会った人々の存在が大きかった。

 地元・福岡の九州三菱自動車に入社して、まず出会ったのが投手コーチの山内孝徳だ。1980年代の南海ホークス(現:福岡ソフトバンクホークス)を闘志むき出しの投球で支え、通算100勝。"ヒゲの山内"の愛称で親しまれた現役時代を覚えているファンも多いだろう。

「"きれいな花"に育てたくないのよ。きれいな花は、見た目はいいけどすぐに散ってしまうでしょ。そうではなく"雑草の花"に育てたい。花が咲いたらたくましく、踏まれてもまた咲くような、何年も咲き続ける花を育てたいのよ」

 そう話す山内の指導で1年目(2015年)は体力づくりとフォーム固めから始め、徐々に登板を増やしていった。

「壁にぶつかったときに『自分はこうやって積み上げてきた』というのがわかったら、それを基本にして自分で乗り越えることができる」という山内の信条のもと、谷川は着実な成長を遂げ、2016年、一躍ドラフト候補となった。

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