小久保采配に神は宿るか。「WBCで日本は意外と強い」説を信じる (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kazushi
  • photo by Getty Images

 特に、実戦最後となったオリックス戦では、9回に秋山翔吾の2点タイムリー三塁打で勝ち越し、勝利をものにした。結果より内容といいながらも、この試合に関しては勝つことに意味があったのではないか。それは試合後の秋山のコメントにも現れていた。

「個人が打とうが、打てまいが、チームとしていろんなプレーがあるなかで、勝てばみんなが救われます」

 そして代打というポジションについて聞くと、こんな答えが返ってきた。

「これだけのメンバーがいるなかで、自分が控えになることは想定内です」

 一昨年のプロ野球の年間最多安打である216安打を放ったヒットメーカーがそういった姿勢でいるのだから、他の選手も一蓮托生、同じ考えなのであろう。

 また、唯一のメジャーリーガーであり、チーム最年長でもある青木はチームに合流するのは遅れたが、早くもリーダーシップを発揮している。5日のオリックス戦では、先制された直後にチームメイトを集め、「まだ(残り)8回もあるから落ち着いてやっていこう」と鼓舞。小久保監督も「存在感の大きさを感じた」と青木のリーダーぶりに感謝した。

 選手たちに話を聞いても、「チームの雰囲気はいい」という答えが返ってくる。緩やかではあるが、チーム力は確実に上がっている。なにより、一流選手たちの集まりである。本戦になるとギアを上げてくるはず、という期待もある。あとは、その選手たちを小久保監督がどう動かし、どう勝利をたぐり寄せられるかだ。

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