東大に7失点、背番号降格。苦しんだ巨人ドラ1・桜井俊貴が誓う逆襲 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sportiva

 ストレートのスピードは140キロ台前半だが、カーブとスライダーを駆使してカウントをつくり、最後はチェンジアップやスプリットで空振りを奪う。右の本格派投手らしいオーソドックスな組み立てだが、この投球で桜井は大会タイ記録となる18個もの三振を奪ってみせた。晩秋の肌寒い神宮球場でこれだけ熱の入った投球が見られるとは思ってもみなかった。

 当時の自分の観戦メモを読み返すと、「巨人のエースを5年、10年と張れるだけのスケールはないかもしれないが、どの球種も精度が高くて着実に実績を残せるタイプ」とある。

「大器晩成」というタイプではない。そんな投手だけに、プロ1年目で戦力になれなかったことは本人にとってもチームにとっても大誤算だったに違いない。もし桜井が「数年後に巨人のエースになりうる存在」というタイプであれば、わずか1年での背番号降格という憂き目にあうこともなかったはずだ。

 昨季は二軍投手コーチとして、今季は一軍投手コーチとして桜井を見つめる田畑一也コーチは、その変化に目を細める。

「去年と比べて真っすぐに角度が出てきて、ボールの強さが出てきています。かなり良くなっていると思いますよ」

 桜井本人も「角度」については自信を深めている。

「昨年はバランスが悪くてうまくいきませんでしたが、去年の後半くらいから球の角度が変わりました。上から、高い位置から投げられるようになって、本来のピッチングになってきたと思います」

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