栗山監督が4年間、考えてきた
「大谷翔平、メジャー挑戦への条件」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

栗山監督インタビュー(後編)

 近い将来、メジャー挑戦が噂されている日本ハムの大谷翔平。メジャーでも二刀流を貫けるかに注目が集まっているが、大谷を入団時から見守ってきた栗山英樹監督は「そのためにやってきた」と力強く語る。まもなく始まる大谷の5年目のシーズン。右足首のケガで調整が遅れているが、指揮官はどんな思いで大谷を見ているのだろうか。そして栗山監督が出したメジャー挑戦への条件とは?

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大谷翔平を入団時から見守り続けてきた日本ハムの栗山英樹監督大谷翔平を入団時から見守り続けてきた日本ハムの栗山英樹監督── 強くて大きな体を作ることによって、大谷選手が高校生のころに持っていた柔らかさが失われたという声もあります。

「それも今の彼には必要なこと。だって、あの柔らかさのまま、あの速さで腕を振ってしまったら、壊れるリスクは極めて高くなる。だからぼくがどこかで制限をかけなきゃいけないと思ってるんだ。要するに、今はまだ、あえて可動域を狭くして、壊れないようにしておいたほうがいいということ。可動域が広がれば広がるほど、柔らかさやしなやかさは増すけど、故障のリスクは高まる。制限しすぎちゃダメだけど、いいものが出るギリギリのところで止めておかないと......。

 たとえば180キロの真っすぐを投げるとすると、腕はもっと後ろに引っ張られることになるでしょ。そんなことになったら肩を痛めるし、腕が飛んじゃう。だから可動域を広げず、どこかで止めてポンと投げたほうが壊れるリスクは低くなる。それでも165キロ投げるんだから、たいしたものなんだけどね(笑)。しなやかさは必要だけど、しなやかすぎると壊れるということも考えなきゃいけない。伊藤智仁がいい例だよね。翔平をトモ(伊藤智仁)みたいにしないように、しなやかさを少し失ってでも壊れないことを考えなくちゃいけないんだ。その幅は難しいし、答えはない。しなやかさはもう少しあったほうがいいとぼくも思うんだけど、でも、そのしなやかさを求めることで、結果的にそれが翔平を苦しめる可能性もある」

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