山田哲人のルーティン、早出ティーは快挙達成後もまだまだ続く (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一方、杉村コーチは山田と早出のティーを3年間続けてきたことについて、次のように語った。

「3年間、本当によく頑張ったとねぎらいたい。予想以上の成果と進化だよね。技術的にはヘッドスピードの速さに磨きがかかり、バット軌道の円というか、スイングワークが大きくなった。だから、体の線は変わらず細いけど、ボールが遠くへ飛ぶ。それに、これだけ知名度が上がっても偉ぶらないし、普段はもの静かな青年。朝起きて、ルーティンをこなして、普通に『頑張ってきます』と言って、とんでもない記録をさらりと達成してしまう(笑)。でも、まだ終わりじゃない。夢のナンバーワンバッターになれるように、これからも一緒にやっていきたいですね」

 今シーズン、山田が早出のティーを休んだのは2回。当日移動ゲームで、どうしても断念せざるをえなかったためだ。

 9月29日、午後2時過ぎの横浜スタジアム。この日はDeNAの三浦大輔の引退試合とあって、一塁側ベンチ前は報道陣や関係者で溢れかえっていた。逆に三塁側は、全体練習がまだ先のため人は少なく、石川雅規が取材を受けているぐらいだった。そんな中、山田がバットを持って姿を見せた。消化試合となっても早出のティーを休むことはない。

「やっぱり、試合前にティーをやらないと変な感じがします。今でも打席に入るときに「ティーをやったんだ。大丈夫だ」っていう安心感もあります」

 そう言って、山田は杉村コーチの待つレフトブルペンへと歩き始めた。

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