プロ20年目、41歳の黒田博樹が新たに覚える「打ちづらい球」 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 2月17日のチーム合流後初ブルペンから試投し、実戦練習でも積極的に投げてきた。フリー打撃では新人の西川龍馬のバットを折るなど、成果を見せた。だが黒田は、「まだまだ上げていかないといけない。使えるかどうかはまだ分からない」と首をひねった。

 1球1球に意味を持たせる黒田にとって、どれだけ自信を持って投じることができるかが重要になる。さらに、「(チェンジアップを)挑戦する以上は、ウイニングショットとして使えるようにしたい」と高い意識を持っている。

 これまで黒田はオープン戦でもシーズン中と同じように、「その日の中で使える球種を使いたい」というスタンスを取っていた。しかし今回の西武戦は、テストに重きを置いた。

 試合前にバッテリーを組んだ石原慶幸に伝えていたことが2つある。ひとつは「新球チェンジアップの積極使用」だ。2回二死一、二塁。栗山巧をチェンジアップで遊ゴロに打ち取るなど、配球に組み込みながら他の球種とのコンビネーションを確かめた。まずまずの結果となり、決め球から見せ球への下方修正も含めて今後の実戦で見定めていくことになる。

 そしてもうひとつが、「右打者の内角カットボールの使い方」だった。昨年、右打者に対しては、内角にツーシーム、外角にはカットボールやスライダー、スプリットを使っていた。しかし、シーズン中盤から内角のツーシームを打ち返そうと、打者に開き気味に対応される場面もあった。

 そのため右打者に対しては、内角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる"フロントドア"の必要性が出てきた。その精度を高めることが開幕までのテーマのひとつになっていたのだ。

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