杉内俊哉が語る「史上最大90%ダウンの理由と復活への挑戦」 (2ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ただ、それでは本人が納得できない。あくまで、目指すのは高い水準のピッチングだ。

「パフォーマンスが落ちているし、チームの戦力になれなかった」

 医者や球団と話し合いを重ねた上で、手術を受ける結論を出した。堤辰佳ゼネラルマネジャー(GM)は「『野球生命を懸ける。その覚悟を持って(手術を)やりたい』と(杉内が)言ったので。どういう手術か理解して、こちら(球団)もゴーサインを出した」と杉内の悲壮な思いを理解した。

 10月1日、福岡県内の病院で「右股関節の形成手術」を受けた。

 巨人移籍後、4年間で通算39勝22敗では1年平均で10勝に達していない。大型契約に見合う活躍だったとは、決して言えない。さらに、手術明けで、来季、後半戦での復帰を目指す身だ。当然、年俸が大きく下がることは避けがたい。球団としても野球協約で定める減額制限(1億円以上は40パーセント)を超える額を考えていたが、出てきた金額はそれを大きく上回る90パーセントダウンだった。杉内自らが年俸返上を申し出たという。その心境をこう語った。

「来年度については、基本年俸をギリギリまで抑え、出来高で評価していただくことで了解をいただきました。(自らの高額年俸のために)球団の編成に制約が出てしまうのは不本意ですし、自分にとっても、出来高という目標をつくっていただいた方がリハビリ、トレーニングのやりがいも高まります」

 普段からひょうひょうとした振る舞いを見せるが、常に勝利に飢え、チームを思い、心の中は熱い男だ。出来高を設定したのも、モチベーションを上げるひとつの方法。「設定された出来高をすべてクリアすれば『杉内は見事に復活した』と皆様方に思っていただけるだろうと信じています」と言った。

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