ホークス快進撃を支える工藤流「投手育成」采配 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 6回表、ファイターズの攻撃。記者席から眺めながら、中田は交代するだろうと思っていた。だが、続投だった。勝利投手の権利は手にしていたし、なによりホークスには強力リリーフ陣がいる。それでも工藤監督は中田に託したのだ。この6回を中田は三者凡退で切り抜け、ここでお役御免となった。

 6回裏、ファイターズのベンチから出てきたのは吉川ではなく、栗山監督だった。吉川は前回登板から中5日だったとはいえ、まだ余力は十分に感じさせた。正直、この交代には驚いた。たしかに、ファイターズのリリーフ陣もコマは揃っている。だからなのか、栗山監督の決断は早かった。

 試合は7回にファイターズが追いつくも、最後は吉村裕基がサヨナラ安打を放ち、ホークスが首位攻防の第1ラウンドを制した。別に試合結果について語りたいわけでもないし、継投の賛否も人それぞれだろう。ただ少なくとも、工藤監督の采配は昨年までのホークスには見られなかった投手起用だった。野手出身だった秋山幸二前監督、その前に指揮を執った王貞治監督ならば、はたして6回のマウンドに中田を向かわせただろうか。

「僕はあまり(投手を)代えない方かもしれませんね。みなさんが『なぜここで代えないんだ』と思うところで続投させることもあるでしょう。もちろん、試合に勝たないといけない。そのための采配はします。でも、投手には成長してほしいと思っているので、そのために投げさせることはあるかもしれません」

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