メジャースカウトが語る「大谷翔平の最新評価」 (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kazushi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ただし、いくら球団の全面的なバックアップがあっても、メジャーで二刀流をするのは現実的に厳しいのは言うまでもない。まず、環境的な理由が挙げられる。メジャーは、先発投手は中4日で登板するのが通例で、その中で野手として出場するとなると、体力的に持つのかどうかという不安がある。さらに移動距離も長く、時差や寒暖差もある。当然、体調管理は日本とは比べものにならないほど難しい。

 それにビジネス的な側面もある。上述した通り、大谷がメジャー移籍を果たす際、交渉権を得る球団は多額の資金が投入されることになる。つまりこれは、「大谷翔平」という商品に対する投資だ。何百億円もの金額を費やして、彼に二刀流というリスクの高いことをさせるとは考えにくい。

 ただ、別の球団のスカウトは「個人的な思いを言わせてもらえば」と言い、こう続けた。

「大谷のあのバットコントロールのうまさ、広角に打てる技術、そしてパワーを見ると、野手としてメジャーでどれくらいやれるのか見てみたいという気持ちはある。口にはしないけど、そう思っているメジャー関係者は、実は結構多いんじゃないかな。もちろん、価値が高いのは投手としてだけど、昨年よりも打者としての評価は間違いなく上がっている。投手としての大谷と、打者としての大谷。これがふたりいてくれたらいいんだけど(笑)」

 今年はまだ打撃面でさほど目立った活躍を見せていない大谷だが、これから調子を上げて打撃センスを見せていけば、メジャー関係者たちの悩みはさらに深くなるに違いない。

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