巨人・高木勇人の野球人生を変えた「魔球」との出会い (3ページ目)

　また、カットボールとともに首脳陣が驚いたのが体の強さだった。キャンプ中、ブルペンに入った回数はチームトップ。「ブルペンに入る日を決めるのではなく、入れる日は入るという感覚です。社会人時代からこのスタイルでやってきました」と高木は涼しい顔で言うが、斎藤雅樹投手コーチは「こっちがペースを抑えないと、いつまでも投げている」と苦笑いを浮かべるほどだった。

　そしてプロ初勝利を挙げた試合後、高木はこう語っていた。

「後ろを守っているのはうまい選手ばかり。安心して投げることができました。ジャイアンツは本当にすごいチームです。これからも自分らしく投げていきたいと思います」

　華々しくスター街道を走ってきた選手が多い巨人にあって、社会人で７年間過ごした高木は、逆に異質な存在かもしれない。しかし、高木には地道に技を磨き上げてきた強さがある。自らの野球人生を変えた“魔球”とともに、高木の快進撃が始まった。