2015.01.22

工藤監督提案の「競争枠」でホークス先発陣が変わる!?

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

「投手出身監督の方が、先発完投型のピッチャーが育つ」という定説を聞いたことがある。その理由のひとつにあるのが、先発投手の起用である。たとえば、先発投手が試合終盤の苦しい場面に直面した時、投手出身監督の方が続投させるケースが多いという。投手出身監督は自身の経験から、「場数を踏んでこそ、強い精神力や投球術が養える」という考えが根底にあるからだ。かつて横浜(現・横浜DeNA)で監督を務めていた牛島和彦氏は、次のように語る。

「1年を通しての戦いを考えた場合、完投できる投手を何人作れるかが重要になります。勝ち星をつけることも大事ですが、1試合を任せられる投手をどう育てるかが使命だと思っていました。そのためには経験を積ませることが絶対必要になります」

就任直後の秋季キャンプで積極的に若手投手に声をかけていた工藤公康監督

 昨年のパ・リーグで完投数がいちばん多かったのは、星野仙一監督が率いた楽天だった。2年目の則本昂大が9完投をマークし、ニューヨーク・ヤンキースに移籍した田中将大の穴を埋めて、チームの大黒柱へと立派に成長してみせた。また一昨年を見ても、パ・リーグ完投数トップは渡辺久信監督の西武だった。ともに投手出身の監督だ。

 そして今年、昨シーズン日本一のソフトバンクは秋山幸二監督に代わり、工藤公康監督が新たに就任した。ホークスで投手出身の監督が指揮を執るのは、1989年の杉浦忠監督以来、実に26年ぶりのことである。

 ホークスといえば、1995年から2008年まで指揮を執った王貞治監督(現・球団会長)の色が濃い。あとを継いだ秋山監督も王監督時代にヘッド格のコーチをしていたこともあり、王監督の野球を継承した形だった。

 1999年に福岡移転後初優勝を遂げたチーム(当時は福岡ダイエーホークス)は、以降6回リーグ制覇を果たした。そして、その輝かしい栄光の中には、いつも"勝利の方程式"が存在していた。

 これも定説だが、野手出身の監督は継投策に積極的になるといわれる。打席に立つ側からすれば、先発投手がいくらいいピッチングをしていても、フレッシュで強い球を投げられるピッチャーの方が怖いのだ。

 連覇を達成した1999年、2000年には、ロドニー・ペドラザという絶対的な守護神がいた。また秋山監督が就任した当初は、7回を攝津正、8回をブライアン・ファルケンボーグ、9回を馬原孝浩が投げるという必勝リレーが完成。それぞれのイニシャルを取り「SBMリレー」と名付けられた。そして昨シーズンのチームにしても、五十嵐亮太やデニス・サファテといった抑え投手たちが日本一の原動力となった。