アマ球界の実力者を次々と指名した中日に復権の予感

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 10月23日、ドラフト会議が行なわれ、注目の有原航平(早稲田大/投手/右投右打)は4球団競合の末に日本ハムが引き当て、安樂智大(済美高/投手/右投左打)は2球団競合の末、楽天が交渉権を得た。その他では、高校通算73本塁打の岡本和真(智弁学園/内野手/右投右打)は巨人、昨年夏の甲子園の優勝投手・高橋光成(前橋育英/投手/右投右打)は西武、大学ナンバーワン左腕・山崎福也(明治大/投手/左投左打)はオリックス、最速150キロに高校通算57本塁打の松本裕樹(盛岡大付/投手/右投左打)はソフトバンクがそれぞれ単独指名した。

中日に2位指名された九州産業大のエース・浜田智博中日に2位指名された九州産業大のエース・浜田智博

「今年のドラフトでポテンシャルの高さからいえば、有原は断トツです。ただ、指名したのが4球団というのは寂しいですね」

 そう語るのは、ドラフト事情に詳しいスポーツジャーナリストの安倍昌彦氏だ。ただ、有原の指名を回避した球団の理由もわかるという。

「ひとつは夏に痛めた肘の状態です。秋季リーグの開幕戦にベンチ入りしないなど、どこまで回復しているのかがわからない状況です。そしてもうひとつは彼のマウンドに対する意欲です。10月18日の立教戦に先発して6回4失点で負け投手となり、翌日は他の投手が投げて勝利。10月20日の3戦目に先発するのかなと思ったら、1年生投手が先発しました。状態が万全ではないにしても、勝てば優勝の可能性がある試合で投げないのは寂しい限りです。『この試合、任せてください』と監督に直訴する気迫が欲しかった。あの試合に登板しなかったことで指名をあきらめた球団はあったと思います。持っているものは素晴らしいのに、一歩下がってしまうところがあるんです。日本ハムはそうした部分も含め、有原を鍛えていかなければいけないでしょうね」

 高校生では最速157キロ右腕の安樂がヤクルト、楽天から指名を受けたが、安樂も肘の状態が良ければ、もっと多くの球団から指名があったかもしれないと、安倍氏は言う。

「彼の能力は間違いなく一級品です。ただ、彼も有原同様、肘に不安がある。それも神経を痛めたと聞きました。ドラフト直前、マスコミを集めての合同取材があったのですが、その時もブルペンには入ったけど、立ち投げだけでピッチングはしなかった。正直、どこまで肘の状態が良くなっているのかはわからずじまいでした。彼の将来性は評価しつつも、指名できなかったのはそのような理由があるからだと思います」

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