下剋上に自信。日本ハムが描く「金子攻略」のシナリオ (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その第1戦は、大谷翔平と金子千尋のマッチアップが確実な情勢だ。

 栗山監督は、力で相手をねじ伏せる大谷の瞬発力、爆発力にチームの命運を託した。同時に、大谷抜きの打線で金子を打ち崩さなければ、活路は見いだせない。バファローズには金子に加えて、平野佳寿、佐藤達也、馬原孝浩、比嘉幹貴といった強力リリーフ陣もブルペンに控えている。

 そこで、考えてみた。

 ファイターズ、下剋上の条件。それは、金子攻略のカギは1、2番コンビにあるのではないか、と――。

 ファイターズにようやく生まれた1、2番コンビ。

 西川遥輝、中島卓也のふたりは今シーズン、金子に対して結果を残している。西川は10打数3安打、ホームラン1本。中島は5打数4安打。ふたり合わせて、15打数7安打、打率.467と文句のつけようがない数字が並ぶ。

 開幕からは1番陽岱鋼、2番西川の組み合わせでスタートしたファイターズだったが、5月には西川を3番に入れ、2番には大引啓次を起用して、1、2番は陽、大引のコンビになった。さらに交流戦の直前から西川の1番をテスト、7月半ばからは中島が2番にはまり、8月14日以降は、西川、中島の1、2番が定着した。1番の西川に出塁を許せば足が気になる。2番の中島はファウルで粘るのが持ち味だ。栗山監督は安定の3位に居座りながら、ピッチャーに嫌がられる1、2番コンビを熟成していたのである。

 今シーズン、金子はファイターズに対して3試合に先発し、0勝2敗と勝てていない。5月2日の札幌ドームでは9番に入っていた中島が3回、ワンアウト3塁 からセンターへタイムリーを放って金子から先制点を奪った。さらに6回、今度は3番の西川が右中間のスタンドへ叩き込み、金子からダメ押しの追加点を奪う。1週間後の5月9日に行なわれた神戸の試合でも、金子は中島に苦しめられた。3回、ヒットで出塁を許した中島に、陽岱鋼の内野安打と大引の送りバントで三塁を陥(おとしい)れられ、その後、ワイルドピッチで先制点を与えてしまう。4回には中島のセンターへの犠牲フライで追加点を許すなど、金子は中島にかき回されて2敗を喫したと言っていい。

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