不安要素だらけの広島が甲子園でミラクルを起こす3つの条件 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 さらに、一昨日飛び込んできた野村謙二郎監督辞任のニュース。少なからず選手に動揺を与えたのは間違いない。こんな不安要素だらけの広島が敵地で阪神を倒せることはできるのだろうか。「何か秘策はないか」と北別府氏に聞くと、次のような答えが返ってきた。

「僕は第1戦の先発を前田健太にすべきだと思います」

 一見、当然のように思えるかもしれないが、北別府氏がそう言うには理由がある。前田は最終戦となった10月6日の巨人戦に先発し、8回118球を投げた。もしCSファーストステージの第1戦に先発することになれば中4日となってしまう。そのため疲労回復を考慮し、第2戦に先発するのではないかという報道があったからだ。

「CSファーストステージは2勝すれば終わりという超短期決戦。第1戦を取ったチームが圧倒的に有利になります。前田以外に期待できる投手がいるならともかく、他は投げさせてみなければわからない状態なので、ここはエースに期待するしかありません。完投するとか考えず、最初から飛ばしていった方がいい結果になるのではないでしょうか」

 セ・リーグの過去7年のCSを見ても、ファーストステージ第1戦に負けたチームがファイナルステージに進んだのは一度しかない(2009年の中日)。それだけ第1戦の先発というのは重要であり、中4日であってもエースで行くべきだと北別府氏は主張する。

 一方、攻撃面はどうか。北別府氏が打線のキーマンに挙げたのが、セ・リーグ本塁打王のエルドレッドだった。

「巨人との最終戦でも、4番のエルドレッドが早い回に1本打っていれば、あんな展開にならなかったはず。私は、4番にこだわる必要はないと思っています。ロサリオを4番にして、エルドレッドを6番か7番あたりで気楽に打たせる。その方が阪神にとっても嫌だと思うんです」

 解説者の藪恵壹氏も同じ意見だった。

「広島はエルドレッドが打つと打たないではまったく違う。エルドレッドが打てばチームの雰囲気は一気に明るくなるし、逆に打てないと重くなる。カープ打線の顔ですから4番に座ると思いますが、調子次第で下位に置いてもいい」

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