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二刀流・大谷翔平、2年目はここが違う (2ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

◎野村弘樹(元横浜コーチ)

 投打ともにものすごい速さで成長しています。5月13日の西武戦でプロ初完封を記録しましたが、終盤までストレートの球威は衰えず、9回になっても150キロを超していました。この試合を見て、ようやくプロのピッチングを覚えたなと思いました。昨年までの大谷は、とにかく力任せで勝負していたところがありました。コントロールもペース配分も二の次。まずは全力で投げることを第一に考えていたように思います。スピードがあるうちはいいのですが、徐々に球威も落ちてきて、打者の目も慣れてくる。その点、西武戦でのピッチングは変化球をうまく使いながら、最後まで的を絞らせなかった。変化球の制球力が良くなったことも大きいですが、しっかりピッチングを組み立てられるようになったことが大きな進歩だと思いました。

バッティングも、ヒットゾーンが昨年より広くなったと思います。苦手にしていたインコース寄りの落ちる球もうまく拾えるようになったし、逆方向にも強い打球がいくようになりました。いずれはどっちかに絞るべきという意見もありますが、投打でこれだけ高いパフォーマンスを見せているのですから、とことんやってほしいですよね。彼の才能に、これまでの前例は当てはまらないとつくづく思いました。

◎吉井理人(元日本ハム投手コーチ)

 今シーズンの大谷のピッチングを見て、昨年と大きく変わったなと思うところは、フォークの精度が格段に上がったことです。昨年もフォークは投げていましたが、基本はストレート、スライダー、カーブの3種類でした。でも今年は、フォークを自在に操ることができています。これをマスターしたことで、投球の幅がものすごく広がりました。

普通、打者は投手のいちばん速い球に対応できるように打席に入るものですが、頭のどこかにフォークの存在があるため、ストレートが来ても反応が遅れてしまう。そのため、少々甘いストレートでも捉えきれず、ファウルになってしまうんです。そのおかげで楽に追い込めるようになりました。簡単に打者を追い込むピッチングができるようになったことが、今年勝てるようになった大きな要因だと思います。それに大谷のフォークは140キロ近くあり、投げた瞬間、ストレートとフォークを判別するのは難しい。使える変化球が1球増えただけで、打者は相当困惑していると思います。

◎槙原寛己(元巨人)

 昨年の大谷のピッチングを見ると、プロで2ケタ勝つにはまだしばらく時間がかかるだろうなと思っていたのですが、今年の彼の投球を見て、2ケタはもちろん、15勝も十分に可能だと思いました。そう思えるいちばんの要因が、投球フォームです。昨年の大谷はまだ下半身ができていなかったせいか、リリースが安定せず、ボールにばらつきがありました。それが今年は下半身がたくましくなり、フォームが安定してきたことで、コントロールが格段に良くなりました。まだピンポイントを突ける細かいコントロールはありませんが、今の彼の球威ならストライクゾーンにさえいけば十分に勝負できます。ストライク先行のピッチングができるようになったことで、気持ちに余裕が生まれたような気がします。いい意味で打者を見下ろして投げられるようになったことが、いい結果につながっているのでしょうね。

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