楽天ファン待望の一日「初めて日本シリーズがやって来た!」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 午後4時になる頃には、球場周辺は人だらけ。特に、日本シリーズの記念グッズ売り場はどこも行列。シリーズ限定のキャップやピンバッチは早くに完売となった。

「今日は家を出る前からテンションは高めでした。やっぱり日本シリーズは特別ですね。とにかく勝ってもらって、日本一の記念グッズを売りたいですね。6、7戦までいった方が儲かる? いや、そんな贅沢は言いません。ファンとしては、4連勝で日本一になってほしい。早く安心したいです(笑)」(グッズ売り場、男性スタッフ)

 球場では、楽天と巨人のロゴを身につけたファン同士が仲良く歩いている姿が印象的だった。前出の秋葉さんたちも、元は熱狂的な巨人ファンだった。

「私はまだ巨人ファンなんです。楽天も好きだけど、やっぱり巨人の方が……」(秋葉さん妹)

「今日からの日本シリーズで、私たちが楽天と巨人のどっちが本当に好きなのかがわかると思うんです」(妹の娘さん)

 北口さん(40代男性)は、秋田から奥様とご両親の4人でKスタにやって来た。4人とも巨人のユニフォームを着ている。

「パ・リーグでは楽天を応援していますけど、私たちにとっては何があっても巨人なんです。いくら東北のチームである楽天が頑張っても、気持ちがぶれることはありません」

 18時34分、プレイボール。東北初の日本シリーズがついに始まった。楽天の先発は則本昴大。新人投手のシリーズ初戦先発は61年ぶりだという。球場はすでに超満員で、ボールが動くたびに大歓声、悲鳴、ため息の連続。

「1球1球が歴史の1ページになると思うと……感動ばかりしてしまって」(秋葉さん妹)

 試合は楽天が1点のリードを許したまま終盤へ。楽天が得点圏にランナーを出すたびに球場のボルテージは高まるが、ホームが遠い。結局、8回表にも追加点を奪われ0-2の完封負け。ゲームセットの瞬間、大きなため息が出たものの、ガックリうなだれる人は皆無。どちらかといえば満足そうな表情を浮かべた人が目立ち、球場の外では正面ゲートを背景に記念写真を撮る人があとを絶たなかった。

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