将来の日本の主砲。パ・リーグの「若き4番」がアツイ! (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Nikkan sports

 その中田の母校・大阪桐蔭の1学年後輩が今季、大ブレイクを遂げた。西武の4番、浅村栄斗(22歳)だ。

 高校時代は1番を任されるなど、もともとはシュアな打撃が持ち味だった。その浅村が、今年5月29日のDeNA戦で入団5年目にしてプロ初の4番に座った。「何で自分が?」というのが正直な感想だった。当初、渡辺久信監督も「つなぎの4番」と話していた。だが9月12日現在、浅村は25本塁打を放っており、ホームランキング争いで中田らに肉薄している。また、打率.315はリーグ5位。打点91は堂々のリーグトップである。

 浅村は今季の成長を、次のように自己分析する。

「一軍の試合に出られるようになってから今年で3年目ですが、去年あたりから自信がついてきました。去年の後半戦で打撃のタイミングの取り方を変えたのがよかった。ゆっくりタイミングを取るようにしたんです。ホームランに関しては、どうでもいいということはないですけど、とにかく自分のスイングをすることだけを考えています。打席の中でホームランを打つことは考えていません」

 以前は、本塁打を打った試合後に「ナイスパワー!」とチームメイトに声を掛けられてもただ照れ笑いするだけで、あえてホームランと向き合おうとしなかった。しかし、4番を任されるうちに、少しずつ浅村の気持ちの中に変化が見られるようになった。

「(9月6日から)中村(剛也)さんが一軍に戻ってきましたが、自分がそのまま4番を任される意味というのを考えるようになりました。今はもう4番目の打者じゃない。4番の仕事ができるよう、まずは今季最後までまっとうしたいです」

 そんな浅村が描く4番打者像とは、「ひと振りで流れを変えられる打者」である。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る