防御率2点台に復帰。なぜ阪神の投手力は上がったのか? (2ページ目)

  • 岡部充代●文 text & Okabe Mitsuyo
  • photo by Nikkan sports

 山田勝彦バッテリーコーチも、これには同意見。「先制することができれば、勝ちパターンの継投になるから、自然と防御率も良くなる」と語った。

 継投といえば、今年の阪神はリリーフ陣の奮闘が目立つ。新クローザーの久保康友は救援失敗が続きファームで調整しているものの、福原忍、安藤優也、加藤康介らはいずれも1点前後の防御率。その点について、矢野氏は「(藤川)球児がいなくなって、自分たちがしっかりしないといけない、という気持ちを持ちながら投げている」と分析した。

 ふたつ目の要因は、外野の守備力アップだ。昨季はレフトに右肩を痛めた金本知憲、ライトには守備に不安を抱えるマートンに守らせる試合が多く、相手チームは「走り放題」だった。それが、福留孝介の加入でガラリと変わった。毎回というわけではないが、余計な進塁を抑えられるようになったのだ。昨年なら本塁へ突入していた走者が三塁に止まり、迷いなく三塁を目指していた走者は二塁でストップ。その抑止力が、無駄な失点を防いでいる。「防御率はピッチャーの力だけで良くなるものじゃない」と、山脇光治外野守備走塁コーチは言う。

 もちろん、進塁を防ぐだけでなく、ヒット性の打球を好補するという分かりやすい援護もある。福留はひざの故障で離脱してしまったものの、「(センターの)大和がレベルアップしているし、マートンも打撃の調子がいいから、守備でも良いプレイが出るようになった。千葉でのロッテ戦も、ふたりの守備がなければ3、4点取られていたよ」と、吉竹春樹作戦・守備走塁コーチ。ふたりの守備とは、5月23日のロッテ戦(QVCマリン)で、大和が3回一死満塁の場面、マートンが8回二死一、二塁のピンチに、いずれも大飛球をジャンピングキャッチしたプレイを指したものだ。

 最後に、矢野氏は捕手出身らしい目線で、もうひとつの要因を語ってくれた。それは今年、多くの試合でスタメンマスクをかぶる、藤井彰人の精神面である。

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