2012.09.25

【プロ野球】「本当はもっとマウンドにいたい……」。
高津臣吾、22年の選手生活に幕

  • 大田誠(テレビ朝日 Get SPORTS取材班)●文 text by Ohta Makoto(tv asahi Get SPORTS crew)
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

 高校、大学と、ずっと2番手投手だった高津は、なかなかマウンドに上がることができず、野球を辞めようと何度も思った。プロ野球選手になり、やっとの思いで自分の居場所を見つけ、通算セーブの日本記録を作るが、メジャーリーグというさらなる高みを37歳で求めたことにより、戦う場所が決まらないという辛い思いを経験する。さらに、長年に渡り貢献してきたと思っていたチームから、突然の解雇通告。そんな、いくつもの辛い時期を支え続け、わがままを聞き入れてくれた家族へのメッセージ。

「ゴメン。もうユニフォーム姿を見せてあげられない。君たちの応援する姿や笑顔や優しさが、どんなに身体が辛くても、心が折れそうになっても、一番の僕のエネルギーでした。これからは、君たちの野球で、パパとママを楽しませてくれ」

「そして最後に……」と、高津が意を決したように話し始める。

「もしひとつだけ願いが叶うなら、またここに帰ってきたい。来年も、再来年も、ずっとマウンドに立ち続けたい。僕は本当に幸せな野球選手でした。本当に長い間、ありがとうございました」

 本当は、いつまでも野球を続けたい、マウンドに登って投げ続けたい。これを、悪あがきと受け取る人もいるかもしれないが、本来、野球選手の誰もが、子どものころに野球が大好きになってから、ずっと野球を続けていたいと思っていたのではないか。しかし、プロという厳しい世界では、続けたくても続けられず、若くして苦渋の決断を下さなければならない選手の方が圧倒的に多い。

 高津も最後の5年間は、引退という2文字と隣り合わせのまま、韓国、台湾、新潟と渡り歩いていた。それでも、現役にこだわり大好きな野球を続けてきた。さらに、そこで改めて野球の楽しさを知り、野球の難しさを再確認することができた。だからこそ、どんな形であれ、夢を諦めず挑戦し続けてほしい。そして、もっともっと野球を好きになってほしいという、若い選手たちへのメッセージにも聞こえた。

 高津の現役生活は幕を閉じたが、野球が終わったわけではない。独立リーグ日本一という次なる目標へ向かって、すでに走りだしている。

「本当の目的というのは、ここ(引退試合)ではなくて、監督として彼ら(選手)を一人前に育てることが、僕のひとつの大きな仕事だと思っています。それは必ず、去年の(日本一逃した)悔しさを、今年の喜びでカバーできるように最後まで全力で戦っていきたいと思います」

 永遠の野球小僧、高津臣吾の戦いはまだ続く。


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新潟アルビレックスBC

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