【プロ野球】斎藤佑樹が取り組むべき課題は、二軍という場で克服できるのか? (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

  しかし斎藤が投じたスライダーは曲がりも小さく、ボールゾーンに逃げていくこともなかった。もちろん好調を維持する李大浩が見逃してくれるはずのない、ほぼド真ん中の甘いスライダーは、あっという間に左中間の深いところまで運ばれてしまった。これで斎藤は初回、1点を失う。

 2回にファイターズが3点を取って逆転、2点のリードをもらって向かった斎藤は、3回、またも大引にフォークボールを捉えられる。この当たりがセンター左へのヒットとなって、後藤が倒れ、ツーアウト1塁。

 4番、李大浩の第2打席。初球、外のストレートが外れた。力が入ってきたように見える。

 この日の斎藤のテーマは、ストライクを投げること。

 同時に、ここ最近のテーマが、力を抜くことだった。

  なぜなら最近の斎藤はトップの位置で力が入り過ぎてしまい、体が浮き上がってしまっていたからだ。そうすると視線が上下にブレ、コントロールが定まらなくなる。その余計な動きを修正すれば、力を抜いてスッとトップを作り、体重移動をスムーズにできる。その結果、アウトローにもインローにも、正確に狙いを定めることができるはずだというのが、斎藤の意図だった。

 力を抜いて、ストライクを投げる。

 この両立が難しい。

 開幕直後は、それができていた。

  しかし開幕して2カ月、暑くなるにつれて疲れも溜まり、抑えられていたはずのボールで打たれるようになると、いつしか力が入ってくる。力が入るとボールのキレも失われ、コントロールも乱れる。どうしても打たれたくないと、きわどいところを狙い、ボール球が先行する。その結果、カウントを悪くしてストライク を投げざるを得なくなり、甘くなったところを痛打される。

 まさに、デフレスパイラルだ。

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