【プロ野球】後半戦への大きな一歩。
斎藤佑樹が球宴で掴んだ「ある感覚」 (2ページ目)
前半戦は被安打、与四死球ともリーグワーストだった 2回、4番の阿部慎之助にはインコースへのストレートを空振りさせて三振を奪う。続く5番のウラディミール・バレンティンには初球から徹底してストレートを投げ込んだ。高めに浮こうが、関係ない。バレンティンは斎藤が投じる高めの真っすぐを捉えることができず、ファウルを続けた。
ところが――。
バレンティンには最後に弾き返されたゴロがセンター前に抜け、6番の中村紀洋には初球をフルスイングされてしまった。レフトの上段まで届く、特大の2ランホームラン。
それでも、斎藤は怯(ひる)まなかった。
7番の高橋由伸にカットボールでストライクを先行させ、ワンアウト満塁で迎えた長野にもキレのいいカットボールとスライダーで追い込み、セカンドゴロのダブルプレーに打ち取って斎藤は後続を断った。
そして3回にふたたび中村紀を迎えた斎藤は、初球、バッターの手元でピュッと伸びていくストレートをアウトローに決めた。じつは、この一球が斎藤を興奮させていた。ボールを離す瞬間のタイミングが、「パチッとはまった」(斎藤)感覚をつかんだ瞬間だったのである。3球目、ホームランを打たれたのと同じ高めのまっすぐで中村紀をキャッチャーへのファウルフライに打ち取ったものの、そのストレートよりも、アウトローへ決めた初球に、斎藤はゾクゾクッとするような手応えを感じていたのである。
その1週間前──。
仙台の夜。
7月13日、イーグルスとの一戦。
斎藤は今シーズン、16試合目の先発マウンドに立った。イーグルスの先発は、田中将大。斎藤と田中、3度目の投げ合いである。
ここまでともに、今シーズンは5勝。6勝目を賭けて臨んだこの試合、6つめの白星を手にしたのは田中の方だった。
斎藤はこれで、田中との投げ合いは3連敗ということになった。試合後、田中はお立ち台の上でこう言った。
「2度あることは3度あるということで、しっかり勝つことができて、よかったです」
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