【プロ野球】15年ぶりAクラスへ、カープ投手王国復活の現実味

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

昨年は10勝12敗と負け越した前田健太。今季にかける思いは強い。昨年は10勝12敗と負け越した前田健太。今季にかける思いは強い。 1991年以来リーグ優勝から遠ざかっている広島カープ。2007年から導入されたクライマックス・シリーズ(CS)には一度も進出したことがなく、Aクラス入りは1997年(3位)を最後に果たしてしない。昨シーズンも一時はCS圏内をうかがっていたが、最後は息切れする形で脱落してしまった。

 しかし、今シーズンは、久々にAクラスを狙う戦力が整ってきたという評判だ。特に投手陣は北別府学、大野豊、川口和久などを揃えて、投手王国といわれた80年代の再現がなるのではないかと期待が高まっている。

 なかでも評判がいいのが、ルーキーの野村だ。まだ打者を相手にした本格的な投球はしていないが、ブルペンでの投げっぷりは新人とは思えぬ落ち着きで、「投げ方がスムーズだし、球の回転がいい」(大野投手チーフコーチ)と評価も高く、東京六大学で30勝を挙げた実績を1年目から発揮してくれそうな予感が漂う。

 そして2年目の福井もマイペースで調整を進めているが、昨年、シーズンを通してほぼローテーションを守った経験が生きてくるはずだ。

 またカープにとって大きかったのが、昨シーズン13勝とチームの勝ち頭だったバリントンの残留ではないだろうか。ツーシーム、カットボールなど、いわゆる「動くボール」を低めに集める制球力の高さは、さすが2002年に全米ドラフトで全体1位指名を受けただけの逸材ということをあらためて証明した。

 しかし、なんといっても投手王国再建のカギを握るのはエースの前田健太だ。18勝を挙げて沢村賞に輝いた2010年から一転して、昨シーズンは10勝に終わった前田は、シーズンオフに結婚したこともあり、一昨年の再現をめざして精力的なトレーニングに取り組んでいる。

 前半の沖縄キャンプでは11日、12日と2日連続でブルペンに入った。これは昨年にはなかったことだ。

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