【MLB】ドジャース佐々木朗希のマイナー行きをベテラン記者が主張する理由「単純に、彼に成功してほしいんだよ」 (2ページ目)
【ドジャースファンも見守り続ける再生の過程】
おそらく佐々木にもプライドがあり、できればマイナーには行きたくないはずだ。ジャイアンツ戦後も、「チャンスがある限り、継続して頑張っていくだけかなと思っています」と話していた。その言葉を聞きながら、筆者自身はふと、1999年の野茂英雄を思い出していた。
あの年、野茂はニューヨーク・メッツのキャンプで解雇され、その後受けたクリーブランド・インディアンズ(現ガーディアンズ)の入団テストにも不合格になった。だが、ミルウォーキー・ブルワーズで再起し、再びメジャーへ戻って復活のきっかけをつかんだ。2001年にはボストン・レッドソックスで自身2度目のノーヒットノーランを達成し、2002、03年にはドジャースで2年連続16勝を挙げ、メジャーで2度目のピークを迎えた。当時の野茂に、メンタル面で大変だったのではないかと聞くと、彼はきっぱりこう言った。
「マイナーに落とされても、よくなればまた上げてもらえると思っていましたから」
そんな開き直りがあればと思う。メジャーに来てから佐々木が怪物の片鱗を見せたのは、昨年10月のポストシーズンだった。急きょ9回のマウンドを任されながら、まったく怯むことなく腕を振り、世界一に貢献した。あの時の佐々木には、「大舞台で怖がる若手投手」の姿はなかった。
興味深いのは、現地のドジャースファンも佐々木のことを強く気にかけている点だ。ヘルナンデス記者は、「最近自分が書いたコラムで最も読まれた5本のうち、4本が佐々木についてのものだった」と明かした。つまり地元ファンも、佐々木を期待外れと決めつけているのではなく、「どう再生するべきか」に強い関心を抱いているのである。さらに同記者によれば、現在ドジャース戦中継で解説を務める往年の名選手、オレル・ハーシュハイザーやノマー・ガルシアパーラも、佐々木について話をしたがるという。
テーマは共通している。「今の佐々木をどうするべきか」。
だからこそ、ヘルナンデス記者はこう言う。今の苦しみは、あとになって佐々木を強くするかもしれない、と。
「アメリカでは、才能があれば何度でもチャンスが来る。失敗しても終わりじゃない。だから朗希も、もし一度マイナーに落ちることになっても、自分を作り直せれば、また戻って来られる。正直、私は単純に、彼に成功してほしいんだよ」
どこかで「突き抜けてよくなりそう」という予感はあるのか。そう問われた佐々木は、こう答えた。
「急に来るか、徐々に来るかは僕もわからないんですけど、自分がこうなりたいというものがあるなかで、そこに向かって逆算して継続するだけなので。それをやめてしまったら、終わってしまう。チャンスがある限り、頑張っていくだけかなと思っています」
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
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