【MLB】「本当に怪物なのか」苦闘する佐々木朗希に現地で広まる懸念 本人も「ずっと苦しい状態ではある」 (2ページ目)
【ベテラン記者が回想する高校時代の衝撃】
そもそも佐々木は6番手争いをするような投手ではない。本来は、100マイルの直球を武器にMLBを圧倒したジェーコブ・デグロム級とも評された怪物素材である。だが現在の佐々木は、直球の球威低下と制球難に苦しみながら、本来の自分を取り戻そうともがいている。5月2日のセントルイス・カージナルス戦後、ローテーションを守るプレッシャーについて問われると、佐々木はこう語っていた。
「ひとり入れば、誰かひとりが抜ける形になる。ただ、自分のパフォーマンスに集中しなきゃいけないですし、よりよいピッチングをしなきゃいけないというのは、どんな状況でも変わらない。自分のパフォーマンスを出せることに集中して、あとは僕がコントロールできることではないので」
実際、ドジャースはここまで辛抱強く、佐々木にチャンスを与え続けている。
そんな佐々木を、一度マイナーに送って土台から作り直すべきだと主張し続けている記者がいる。長年、『ロサンゼルス・タイムズ』紙で健筆をふるい、現在は『カリフォルニア・ポスト』に所属するディラン・ヘルナンデス記者だ。
彼が初めて佐々木を見たのは、2019年夏の岩手県大会1回戦だった。当時、まだ高校生だった佐々木は、その試合でわずか2イニングしか投げなかった。それでも、ベテラン記者の目には「普通ではない投手」として強烈に焼きついたという。
「スカウトじゃなくてもわかる時があるんです。高校でも大学でも、"あ、これはメジャーリーガーになるタイプだ"って。でも朗希は、そのなかでも明らかに違った」
最初に目を奪われたのは、豪速球以上に身体の使い方だった。高く上げた左足、崩れないバランス、そして軽く腕を振るだけで150キロ台を連発する異様な出力。その試合はコールドゲームだったが、ヘルナンデス記者の印象に最も残ったのは、実は打席後の走塁だったという。
「二塁打か三塁打を打った時の走りが、本当に美しかった。投手なのに、身体全体の動きが違う。普通の投手じゃないと思った」
それは、ヘルナンデス記者が初めて大谷を見た時の感覚にも似ていたという。2017年、初めて見た大谷の打席はただのショートゴロだった。しかし、一塁へ走る姿を見た瞬間、「アスリートとしての格が違う」と直感した。佐々木にも、同じ種類の特別さを感じたのである。
当時、日本球界に詳しいメジャーリーグのスカウトたちも、その才能に衝撃を受けていた。もしアメリカ人として育っていたなら、MLBドラフト全体1位候補になっていたと見る関係者は少なくなかった。さらに、千葉ロッテで完全試合を達成するなど、圧倒的な投球を見せていた2023年頃の佐々木を見たMLB球団幹部は、「あのストレートはデグロム級」と評した。実際、ドジャースの入団会見でも、球団幹部は佐々木をポール・スキーンズ級の素材として紹介していた。
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