大谷翔平が「二刀流」ではなく「投手専任」で起用された理由 ロバーツ監督と本人が語るその真意とは? (2ページ目)
【前例のない選手を、前例のない形で守る難しさ】
大谷本人とのやり取りについても質問が飛んだ。
どのように理由を説明したのか、大谷から質問はあったのか――。
「細かく説明したわけではない。彼はただ、コミュニケーションを求めている。私は自分の決定を伝えた。彼はそれを受け入れて、前に進んだ」。さらに「もし大谷が不満を持っていたら、監督に伝えると思うか」と問われると、ロバーツ監督は「そう思う」と答えた。ただし、その言い方は慎重だった。
「彼が同意していなければ、私に言ってくれると思いたい」
この微妙な言い回しに、この決断の難しさがにじんでいた。
ドジャースは大谷を守ろうとしている。大谷もチームの判断を尊重している。だが、二刀流をどう持続させるのが正解なのか。前例がないだけに、誰も確かな答えを持っていない。ロバーツ監督は、今後も同じ起用が当たり前になるとは言わなかった。一方で、これが最後だとも言わなかった。前例のない選手を、前例のない形で守る。異例の10分間は、その難題の大きさを物語っていた。
その夜、大谷翔平は、ドジャース移籍後最多となる104球を投じた。6回5安打2失点、9奪三振。決して本来の切れ味ではなかったが、要所で粘り、試合を壊さなかった。それでも打線の援護は1点にとどまり、ドジャースはマーリンズに1対2で敗れた。大谷は今季初黒星を喫した。試合後の会見では、当然のように「打者・大谷不在」に関する質問が出た。
これまでなら、自らのバットでチームを助けられた場面もあったのではないか。投手に専念する日だったからこそ、それができないもどかしさはなかったのか。
記者の質問の意図は明らかだった。しかし、大谷はそこに乗らなかった。
「あまりいい点の取られ方ではなかったですし、毎回のようにランナーも出て、(チームが)攻撃に集中できるような流れを作れなかった」
打線の援護不足を嘆くのではなく、むしろ自分が投手としていい流れを作れなかったことに責任を引き寄せた。さらに、こう続けた。
「打線に貢献できなかったというよりかは、悪い流れを攻撃面に持ち込んでしまったのかなと思います」
大谷は、打者として出場しなかったことを敗因に結びつけるのではなく、投手としての自分に矢印を向けていた。
この答えは、極めて大谷らしいものだった。チームメートを守り、責任を自分に向ける。打者として出ていれば、という仮定には深入りせず、投手としての反省に置き換える。ドジャースのリーダーのひとりとして、チーム批判にならないよう、慎重に言葉を選んでいた。
2 / 3

