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大谷翔平とともにドジャースタジアムもアップグレード インスタ映えポイントの充実とさらなる進化 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【インスタ映えポイントの充実とさらなる進化】

 スタンドのおすすめポイントは4つだ。

 まずはセンターフィールド・プラザ。試合開始の1時間前から広場でショーが始まり、プレゲームやポストゲームのテレビショーが公開形式で行なわれる。ノマー・ガルシアパーラやオーレル・ハーシュハイザーといった往年のスター選手たちが登場してトークを繰り広げる。金曜の夜にはDJやバンドのライブパフォーマンスもあり、賑やかな雰囲気を演出している。観客は広場を自由に歩き回りながらショッピングを楽しめるほか、レストランやビアガーデンで食事や飲み物を堪能できる。また、子どもたちのための遊び場も設置されており、家族連れにもうれしいエリアだ。

 大谷のホームランボールをグラブでキャッチできる「ホームランシート」は外野の最前列にある。フェンウェイ・パークのグリーンモンスターシートのようなセミプライベートな空間で、食べ放題、飲み放題のサービスも付く。

「ゴールドグラブバー」は、左翼ポール下のドジャースのブルペンに隣接するエリア。ここでは、ドジャース歴代のゴールドグラブ賞受賞者を称える金色に輝くグラブが展示されている。そしてガラス越しに大谷翔平や山本由伸が試合前に行なう投球練習を、至近距離で同じ目線から観ることができる。

 ドジャースタジアムには「インスタ映え」するスポットが多いが、特にユニークなのは、各入場口に、巨大なメモラビリアが展示されている点だ。歴代のワールドシリーズ優勝リングや、メジャーリーグ史上初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンの背番号「42」、1950〜60年代に活躍した左腕、サンディ・コーファックスの背番号「32」などの永久欠番の大型プレート。さらに、コーファックスやドン・ニューカムといったサイ・ヤング賞受賞投手たちのサイン入り巨大ボールが陳列されている。

「巨大なメモラビリアを設置し始めたのは、インスタグラムが流行し始めた頃で、瞬く間に世界第2位のインスタ人気スポットになりました」とスミス氏。将来的に、大谷の背番号「17」やサインボールが加われば、さらなる「超人気インスタ映えスポット」になるのは間違いない。

 ドジャースタジアムは、2020年、新型コロナウイルスの影響で観客を入れられなかったシーズンを除き、2013年から観客動員で毎年首位を守り続けている。2024年には394万人ものファンを集め、2位のフィラデルフィア・フィリーズを約60万人も上回った。1試合の平均観客数は4万9065人、満員の試合は23試合にも上った。

 スタン・カステン球団社長は、「ドジャースタジアムは、年間400万人のファンが訪れ、世界中のどのスポーツ施設よりも多くの観客を集める。ここに勝る球場はありません。なぜなら、野球をプレーし、観るうえで最も美しい場所だからです」と胸を張る。2028年のロサンゼルス五輪では、野球のメイン会場になる予定だ。

 ドジャースタジアムがフェンウェイ・パークやリグレー・フィールドのように誕生から100年を迎える日が来るかどうかは定かではないが、これからも大谷とともに進化を続けていくのは間違いないのである。

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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