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【ワールドシリーズ展望】五十嵐亮太が分析する大谷翔平&山本由伸とドジャースの強さ 「絶体絶命のピンチをプラスに変えられる組織力」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

【大谷翔平の状態は?】

── 打つほうでは、なんと言っても大谷翔平選手ですが、打率.286、3本塁打、10打点という成績でした。この数字について、五十嵐さんの率直な感想は?

五十嵐 全然悪くないのですが、こっちの期待があまりにも大きかった。ついついMVP級の活躍をするんじゃないかと、勝手に思い込んでいたところはありました。数字だけを見れば、もっとやるんじゃないかと......。ただ、得点圏ではしっかり結果を残していますし、ホームランも3本打っている。状態自体は決して悪くありません。

── ポストシーズンは三振が17個と少し多い気がしますが......。

五十嵐 大谷選手のなかで、強く振りたいという意識があるのだと思います。とくにランナーがいない場面は、その傾向が強い。大谷選手というのは、ホームランの打ち損じがヒットみたいな感じの打者ではあるのですが、ランナーがいる場面ではしっかりタイミングを合わせてミートに徹してくる。たしかに三振の数は多いですが、まったくタイミングが合っていないとか、スイングがおかしいというのはありません。むしろ、強いスイングでミートするようになったら、はたしてどんな活躍をするんだろうと......そっちのほうが楽しみですね。

── ドジャース打線自体の調子はどうですか。

五十嵐 調子がいい、悪いというよりも、それぞれの選手が勝つ野球をやっているイメージですね。メッツとの試合で。三塁ランナーの大谷選手が内野ゴロでスタートを切らなかったシーンがありましたが、試合後、ロバーツ監督が苦言を呈しました。テオスカー・ヘルナンデス選手は、内野手が定位置で守っているのを見てゴロを打ったと思うんです。ただ打つというのではなく、試合の流れを見ながら対応してくる。ロバーツ監督もシーズンとは違う野球をしている印象がありますし、これがドジャースの野球なのかなと。

── ドジャースがワールドシリーズに進出した最大の要因は何だと思いますか。

五十嵐 もともと打ち勝つチームですから、しっかり点を取れたということは想定内です。ただ先程も言いましたが、投手陣が本当に頑張りました。短期決戦というのは、ひとつのプレーで戦況が大きく変わりますし、1点の重みが違います。そういう意味で、投手陣がしっかりつないで守りきったというのが、一番の要因だったと思います。

つづく>>


五十嵐亮太(いがらし・りょうた)/1979年5月28日、北海道生まれ。千葉・敬愛学園から97年ドラフト2位でヤクルトに入団。プロ2年目の99年にリリーフとして頭角を現し、一軍に定着。04年はクローザーとして37セーブを挙げ、最優秀救援投手賞のタイトルを獲得。09年オフにメジャー挑戦を表明し、メッツと契約。12年はブルージェイズ、ヤンキースでプレーし、13年にソフトバンクと契約し日本球界復帰。18年オフに戦力外となるも、ヤクルトと契約。19年は45試合に登板したが、20年10月に現役引退を表明。現在は解説者として活躍している。

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