大谷翔平、ベッツ、フリーマンのドジャース上位打線の実力を解析 伝説の「殺人打線」級? (2ページ目)
【昨季終盤の不振の雪辱を期すベッツ】
大谷は現在メジャーリーグで最も優秀な編成本部長のひとりと見なされるアンドリュー・フリードマンのチームに入った。打線も投手陣も強力で、アトランタ・ブレーブスとともに優勝候補の筆頭に挙がっている。
まず打線から見ていこう。1番にムーキー・ベッツ二塁手(2018年のア・リーグMVP)、2番と3番に大谷(2021、2023年のア・リーグMVP)、フレディ・フリーマン一塁手(2020年のナ・リーグMVP)いずれかが有力視されている。この3人が一緒になったことで、ヤンキースの「殺人打線」に近づけるのでは? と期待してしまう。
野球では強打者が並ぶ効果は絶大で、例えばロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウトは過去235試合、トラウトの後に大谷を配した打順では打率.291、出塁率.394、長打率.644、85本塁打だった。特に長打に関する数字が上がり、公式戦試合数の162試合に換算すると58.6本塁打である。後ろに大谷がいると、投手はトラウトを歩かせたくないから、ストライクゾーンに投げるしかない。一方で大谷は2021年と2023年、トラウトがケガで多くの試合を休んだため、四球の数も敬遠の数も増加した。ちなみにルースは1924年に28度も敬遠されたが、ゲーリッグがレギュラーになった1925年以降は、敬遠数は激減した。
ベッツは昨季8月31日の時点で打率.317、38本塁打、98打点、OPS(出塁率+長打率)1.034でブレーブスのロナルド・アクーニャとナ・リーグMVP争いをしていた。盗塁数62、打率.337でアクーニャにかなわないとしても、ほかの数字では上回っていたからだ。少なくとも1位票は割れるはずだった。
ところがベッツは9月にスランプに陥り、結局アクーニャが満票でMVPに選ばれた。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、ベッツがMVP候補から外れた理由を「数字を追ってしまったからだ」と分析する。「40本塁打を意識してしまったんだと思う。彼は同意しないかもしれないが、野球選手が数字を追うのは自然だし、理解できる」。
MVP争いに加え、40本の大台がちらつき、ベッツはスイングがおかしくなった結果、9月の本塁打はわずか1本、月間打率も.241。そのままポストシーズンに入り、地区シリーズのアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦では11打数0安打。ベッツがポストシーズンでプレーしたのは7シーズン目だったが、安打ゼロは初の屈辱だった。「勝利に貢献できることを誇りにしてきたのに、一番大事なゲームで何もできなかった」と本人は悔しがる。ベッツはリベンジを期し、「今季は8カ月間連続で最高のムーキー・ベッツを見せる」と意気込んでいる。
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