「大谷翔平との契約はかなり難解」と地元メディアが見解。カギは二刀流の将来性をどう考えるか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 ただ、大谷との契約延長はそれほどシンプルな話でもないかもしれない。某ナ・リーグチームのスカウトは、少し気になるこんなことも述べていた。

「エンゼルスは是が非でも大谷を残留させなければいけないが、GMは大変な仕事を抱えたとも言える。大谷が流失するようなことがあればファンから大ブーイングをくらうが、契約延長のタイミングは非常に難しい。最善の時期と条件を見誤った場合、新契約のリスクは極めて大きくなる」

 大谷への投資の複雑さとは具体的にどこにあるのか。『ロサンゼルス・タイムズ』のエンゼルス番記者、ジャック・ハリス氏に尋ねると、「判断は実に興味深い」と何度か繰り返しながら、今後を展望してくれた。
  
「あと2年、二刀流で活躍を続けたら、大谷は史上最高給の選手になるかもしれない。ただ、大谷の価値はMLBの他のスターと比べてより大きく変動する可能性が高いだけに、チーム側も考えどころだろう。カギになるのは、エンゼルスとリーグ全体が、今季に大谷がやっていることが維持可能と考えるか。それとも毎年この成績が続くと期待するのは非現実的だと見るかだ」

 投打両面で今季同様の働きを今後も続けたならば、ナイチンゲール記者の指摘どおり、大谷は5000〜6000万ドルの年俸での長期契約を提示されてしかるべきだろう。人気面も考慮すれば、もっと高額でもいいのかもしれない。

 ただ、投打のどちらかが不振に陥ることはもちろん考えられる。二刀流選手の故障の危険は、ざっくり言って通常選手の2倍かそれ以上なだけに、離脱のリスクも常にある。

 大谷と7~10年程度の大型契約を結び、何らかの理由で契約期間内にどちらかに専念することになった場合、その契約の捉えられ方は変わってくる。打者に専念した際の大谷は毎年本塁打王を争う可能性を感じさせるが、それでも「年俸5000万ドルはもらいすぎ」という声は出てくるに違いない。この部分に、大谷との新契約の難しさが存在する。

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