2021.09.03

懐疑的→最高へ。筒香嘉智への地元メディア評が一転。さらなる飛躍のカギはマズい姿を見せた守備にある

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

 筒香嘉智(ピッツバーグ・パイレーツ)の覚醒は、チームにとって今季最大級のうれしいサプライズになった。

 現地時間(以下同)8月29日、本拠地でのカージナルス戦に「6番・ライト」でスタメン出場した筒香は、2点を追う9回裏、1アウト一、二塁の場面で、相手守護神のアレックス・レイエスが投じた初球のスライダーをフルスイング。右翼スタンドの場外に消える第5号の逆転サヨナラ3ランを放った。その飛距離は約129mという特大弾であった。

パイレーツ移籍後、すでに5本塁打を放つなど打撃が好調な筒香パイレーツ移籍後、すでに5本塁打を放つなど打撃が好調な筒香 この記事に関連する写真を見る  試合中継で実況はこの瞬間を「右翼へのフライボール、これは行ったか? ヨシ・ツ!ツ!ツギョー!サヨナラだ!ツ!ツ!ツギョー!」と興奮気味に伝えている。また、この劇的勝利の立役者となった筒香を、『MLB.com』や『CBSスポーツ』といった大手メディアは大きく取り上げ、「信じられない」と驚きの声をあげ、「彼はチーム最高の打者だ」と高く評価している。

 パイレーツのデレク・シェルトン監督も、この試合後の会見で「(サヨナラ3ラン)はこの上なく印象的だった。これはヨシの功績だと考えている」と述べ、「私たちは(筒香がドジャース傘下のマイナーチームで重ねてきた努力の)恩恵を受けている」と称賛している。

 筒香はパイレーツ加入後から8月30日までの27打席で打率は.333。長打は二塁打が2本、三塁打が1本、本塁打が5本で、長打率は1.037と驚異的な数字を残した(9月の2試合を含めると、35打席で打率.286、長打率0.857)。現地メディアが大絶賛するのもうなずける活躍ぶりで、貧打に苦しむチームにとってまさに最高の存在となった。

 しかし加入当初、筒香がこれほどの活躍ができると予想していたメディアは少なかった。むしろ、あまり期待を寄せていないような印象すら見受けられた。