大谷翔平の大偉業なるか。やっぱり野茂、イチローはすごかった。日本人選手のオールスター「活躍の系譜」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 2020年のオールスターはパンデミックの影響で中止になったため、今年のオールスターは2年ぶりの開催ということになる。クリーブランドでの2年前のオールスターでは、当時ニューヨーク・ヤンキースに所属していた田中将大が、日本人投手初の勝利投手になった。

 自身2度目のオールスター出場を果たした田中は、ア・リーグの2番手として2回表に登場し、1イニングを1安打無失点。コディ・ベリンジャー、アーロン・アレナド、ジョシュ・ベル、ウィルソン ・コントレラスという、オールスターまでに合計94本塁打を放っていた主軸を無難に抑えた。

 オールスターでは、出番を終えた選手から試合中に会見を行なうのが恒例になっている。田中がクラブハウスの前で「とりあえずほっとしています。雰囲気、余韻に浸る余裕もなかったので、あっという間に終わったなという感じでしたね」と気持ちよさそうに振り返っていた姿が思い出される。

 その時点での田中は、まだ自分が勝利投手になることなど知る由もなかった。しかし2回裏にチームが先制し、一度も追いつかれることなく逃げ切ったたため、勝ちが転がり込んだのだ。田中が楽天のルーキーだった2007年、当時の野村克也監督に「マー君、神の子、不思議な子」と言わしめた勝ち運は、オールスターの舞台でも健在だった。

 野茂が先駆者となり、イチローはユニークさを、田中が勝負強さを見せてきたオールスター。日本人選手の活躍の系譜に、大谷はどんな1ページを加えてくれるのか。ホームラン競争での優勝、本戦では勝ち投手と決勝打。そんな前人未到の大偉業も、この選手なら不可能ではない。アメリカ中のスポーツファンの視線が集中するビッグステージは、もう間近に迫っている。

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