2018.12.14

カープの元助っ人が世界一に貢献。
「背番号70」に込めた日本への想い

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 ボストン・レッドソックスの用具係は、ようやく”背番号70”を長くつけられる選手を見つけることができた。

 近年、その背番号を4人もの選手に与えてきたが、誰ひとりとして次のシーズンにつけた選手はいなかった。

 メジャーでは、高い数字の背番号はあまり期待されていない選手に配られるケースが多い。レッドソックスでも、ベテランや実績を残した選手は数字の低い背番号をつけることが多く、それらの背番号を確保するため、用具係はあまり期待されていない選手には高い数字の背番号を渡す。

 事実、先述した70番を背負った4人の選手も、全員がシーズン途中に昇格した選手たちだ。それに昇格してすぐに結果を出した選手は、案の定、翌年には低い数字の背番号に切り替わるので、高い数字の背番号をつけ続ける選手はほとんどいない。

レッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献したライアン・ブレイシア 2018年シーズンもこれまでと同じく、7月上旬に無名の中継ぎ投手がメジャーに昇格した。彼の名はライアン・ブレイシア(31歳)。2017年に広島東洋カープでプレーしていた選手だ。

 カープと契約した時も大きく報道されることもなく、平凡な成績でシーズンを終えたためにその年限りで解雇となり、今年の春季キャンプ中にレッドソックスとマイナー契約を結んだ。

 マイナーで好成績を挙げ、7月に昇格を果たしたが、背番号70を渡されたという事実が、ブレイシアがあまり期待されていなかったことのなによりの証拠である。

 しかし、ブレイシアは期待をはるかに超える活躍をしてみせた。メジャーにとどまっただけでなく、レッドソックスで最も信頼されるリリーフとなり、ワールドシリーズ制覇にも大きく貢献した。

 驚いたことに、用具係はカープ時代にブレイシアが背番号70だったことを知らなかった。すぐに交換できる数字を探していたところ、偶然にもカープ時代と同じ背番号を割り当てたのだ。