MLBスカウトが見たイチロー。
「控えでの起用がチームと本人のため」

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 マーリンズが順調ならば、今季はこのような起用法が多いのだろう。

 4年連続で開幕スタメンから外れたマーリンズのイチローは、4月6日からのナショナルズ戦で代打として今季初出場。8日からのメッツとの3連戦でも、出番は9日と10日の代打での2打席のみだった。9日のゲームでは6-1で迎えた9回にライト前に弾き返し、今季初安打。試合後には、「あの1打席は僕にとって、200本目の打席と別に何ら変わらない」と相変わらずのイチロー節を聞かせてくれた。

9日のメッツ戦に代打で出場し、今季初安打を放ったイチロー9日のメッツ戦に代打で出場し、今季初安打を放ったイチロー ただ、両打席ともにすでに勝負がほぼ決まった場面での代打登場。それ以降もすべて代打からの起用で、ようやく今季初スタメンとなったのは4月も半ばを過ぎた15日のホームでのメッツ戦だった。

 そんな使われ方は、今のチーム内でのイチローの役割を示すようでもあった。イキのいい若手選手が揃った打線こそがマーリンズの魅力であることは、昨季から変わらない。このチームの浮沈は、クリスチャン・イエリッチ(昨季打率.298、21本塁打)、ジャンカルロ・スタントン(同打率.240、27本塁打)、マルセル・オズーナ(同打率.266、23本塁打)、ディー・ゴードン(同打率.268、30盗塁)、JT・リアルミュート(同打率.303、11本塁打)といった好素材の成長次第。特に、イエリッチ、スタントン、オズーナという20代半ばの外野手トリオにかかる比重は大きい。昨季終了間際、大エースのホゼ・フェルナンデスがボート事故でこの世を去り、投手陣が手薄になった現状ではなおさらである。

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