異常なペースのイチロー3000本ほか、MLB史に残る今年の重大事 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 彼が実況をスタートさせた1950年といえば、黒人メジャーリーガー第1号のジャッキー・ロビンソンが全盛期で、ロイ・キャンパネラやデューク・スナイダーといった殿堂入りのスター選手が活躍していた時代です。そして、スカリーが最後に実況した10月2日のゲームには、前田健太投手が先発しました。それを思うと、スカリーが歩んできた歴史の長さを改めて感じます。

 スカリーの名実況は「人生のサウンドトラック」と呼ばれるほど、みんなに愛されていました。引退は寂しいですが、スカリーのような人物にスポットが当たるということも、メジャーリーグのすばらしい伝統だと思います。

【第4位】 27歳でデビューしたイチローが16年でメジャー通算3000本安打達成

 8月7日、マイアミ・マーリンズのイチロー選手が敵地でのコロラド・ロッキーズ戦で史上30人目となるメジャー通算3000本安打を達成しました。3000本安打の到達者は近年、増加傾向にあります。その理由は、選手の寿命が延びたこと、試合数の増加、そして1973年に導入されたDH制。これらが増加した影響として挙げられます。

 ただ、3000本安打を達成した最初の11人(1894年のキャップ・アンソンから1972年のロベルト・クレメンテまで)は全員、生涯打率を3割以上で終えているのですが、それ以降の残り19人の達成者のうち、11人は生涯打率3割に満たない成績で現役を引退しているのです。なかでも、1980年以降はピッチャーが投げる球種の増加などによって、生涯打率3割を残せる難度は格段に上昇しました。

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