165cmのスター二塁手にみる、菊池、山田がメジャーで活躍する条件 (3ページ目)

  • 杉浦透●文 text by Sugiura Toru
  • photo by AFLO


小柄選手の活躍必須要素:その② 
「長打率」をアップさせるために、2塁打を増やす意識を


 マイナー時代、アルトゥーベが最も苦労した点は「長打率」だった。メジャーの2m級投手の重い速球に力負けしてしまい、頭を悩ませる日々が続いた。打率、出塁率はそこそこの成績を残せたが、長打率が上がらず、「やはり3Aまでの選手か」とスカウト陣を落胆させる下積み期間があったのだ。


 その状況を打破しようとしたアルトゥーベは、ホームランを狙って大振りを繰り返し、今度は打率まで下がることに。「このままではクビになる」と感じた彼が出した結論は、「二塁打を狙う」ことだった。もともと速かった足を生かし、単打級の当たりでも必ず二塁を狙った。内野と外野の間への打ち損じのポップフライをすべて二塁打にすべく、ベース間の走塁も独自の最短ルートを確立。この努力と戦略で、彼はメジャーでも屈指の「二塁打量産ヒッター」になっていく。


 直近3年間の彼の二塁打は、2014年が47本(MLB 3位)、2015年が40本(MLB 10位)、2016年が42本(MLB 6位)と、パワー系打者に引けを取らない数を量産している。キャリア6年での二塁打200本達成は、イチローの8年1ヵ月(メジャーのみ)より早い。今でこそ、アルトゥーベは本塁打も打てる打者になってきているが、二塁打での長打率アップが、これまでのアルトゥーベの生命線となっている(余談だが、コンタクトヒッターを目指したアルトゥーベの三振数は激減。2016年シーズンも三振数わずか70という驚異的な数字を残している)。


 菊池、山田の成績を見ると、二塁打は少ない。山田は本塁打の数は多いが、パワーに勝るメジャー投手を相手に広い球場で試合をするとなると、日本ではホームランだった打球が外野フライになる可能性もある。アルトゥーベにならい、どんな当たりでも二塁打にするような意識をして長打率を稼げるようになれば、メジャーのレギュラーを勝ち取るための大きな武器となるはずだ。

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