田口壮が断言。「日本人内野手はメジャーで通用する」 (2ページ目)
―― 日本人内野手は外国人選手と比べて、身体的に劣っているのでしょうか。特に肩の強さにおいては、その差が歴然としているように思えます。
「超スーパースターと呼ばれる選手を見るとそう思えるかもしれませんが、昨年引退したデレク・ジーターはメジャーの中では強肩というほどではなかったですし、一緒にプレイしたことのあるデビッド・エクスタインなんて僕より肩が弱かったですから(笑)。でも、ふたりともショートとして活躍しました。大切なのは、打球に追いつくまでのスピードと捕ってからのバランスで、日本人内野手と外国人内野手のいちばんの違いはその部分なんです。たとえば、ダイビングキャッチにしても外国人の内野手はすぐに送球できるように飛び込みます。アウトにすることが最優先の考え方なんです。逆に日本人は、ボールを捕ることを第一の目的としてしまっているところがある。要は、意識の違いであって、私は身体的に劣っているとは思っていません」
田口氏はセントルイス・カージナルス在籍時に、ホゼ・オッケンドー守備コーチから「メジャーで内野手として通用するには、バックハンドがうまくないとダメだ」と教えられたという。
「バックハンドの方が捕ってから投げるまでのスピードが圧倒的に早いのですが、日本人は小さい頃から『打球は正面で捕れ』と教えられて育ってきた選手がほとんどですからね。正面で捕る動きに慣れているとバックハンドは難しい。体の使い方がまったく違いますから。その動きをマスターするには、ある程度の時間が必要だと思います」
―― ヤンキースに指名されて、ルーキーリーグでプレイしている加藤豪将選手(※)は日本人ですが、アメリカで育ってきました。
※加藤豪将...サンディエゴのランチョ・バーナード高から2013年のメジャーリーグのドラフト会議でヤンキースから2巡目(全体66番目)で指名を受け入団
「体の使い方が、他の日本人選手とは違いますよね。だから、この先も問題なくプレイできると思います。それに普通に会話できる。これまでの日本人内野手が苦労したのは、ボールの捕り方、体の使い方、コミュニケーションですから」
―― 日本のプロ野球でも、アマチュアの時と同じように正面に入って捕球しなさいと指導されるのですか?
「少なくとも、僕が現役の時はそうでした。日本でプレイするのであればそれでいいと思うんです。堅実なプレイは大事ですから。ただ、将来的にメジャーに挑戦したいのであれば、考え方そのものが違うということを認識しておく必要があります。確かに、ボールを止めることは大事なことですが、守備の目的はアウトにすることですから。根本的な考えが違うんですよ」
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